はじめに
コロナウイルス流行に伴う休校に伴い、子供の世話のために仕事を休まざるを得ない人を抱える企業に対し、日額上限8330円の助成が支払われることとなりました。一方、フリーランスについては約半額である4100円支給となりました。
働き方の形態により差がつけられていることが問題視されており、ネット上には反発の声が多数書き込まれていますが、「フリーなんだから自己責任だろ」的な論もあります。これの是非はさておき、組織に属して仕事をしている人からするとフリーの働き方というものはあまり想像できないかもしれません。
政府の対応に思うこと
今回政府が当初フリーを対象としていなかったのは、「フリーの人って自宅で働いているんだから別に“休業”も何もないよね」なんて思っていたからではないでしょうか。しかし、フリーランスであっても企業に常駐していたりすることは多いわけで、かくして今回の中途半端な決定に至ったのかもしれません。
常駐していないにしても、誰にでも「現場」というものはあります。ありとあらゆる職種にフリーはいるわけで、大工、ウエディングプランナー、建築家、編集者、マーケッター、営業などは明らかに自宅だけで完結する仕事ではない。
今回の案を出した官僚にしても、組織人なわけで、少し想像力が足りなかったかもしれませんね。というわけで、今回は、フリーランスの働き方について述べていきます。
私は今年でフリーになって20年目ですが、直近の働き方は自分で会社を経営していたり、それでいて2つの企業に週3回通うなど、あまりにも特殊です。まったく参考にならないでしょうから、初期の働き方について書いてみます。
以前の働き方
2001年でしたが、当時はスマホはなかったものの、PCとガラケーはありました。リモートワークは可能な状況にありました。
その働き方の特徴は「暇過ぎる時と忙し過ぎる時の差があり過ぎる」ということに尽きます。4月から7月までは完全に無職でしたが、8月にようやく仕事が一つ決まりました。『日経エンタテインメント!』という雑誌のライターになることができたのですが、この月やった仕事はその月の面白かったCMの裏話の取材記事と、当時旬だったクリエーターご本人の取材です。
この2本で15000円をもらったのですが、労働時間を算出するとこうなります。
企画書作成&送付、取材交渉:1時間
取材:2時間
原稿執筆:6時間(まだ慣れておらずこれぐらいかかってしまった)
編集者との修正指示等のやり取り:1時間
原稿修正:1時間
ゲラ確認:1時間
その他雑務:30分
合計14時間30分をこの2本の記事のために使ったのですが、この時はこれ一つだったため、暇な月だったといえましょう。しかし、この時の仕事っぷりが認められたのか、翌月は特集を作らせてもらうことになりました。
オープンしたばかりの東京ディズニーシーとその春にオープンしたUSJに実際に行ってみるという特集で、これは8ページもあります。この8ページのすべてを私が書くことになりましたが、この時は150時間は使ったと思います。ギャラは16万円もらえました。最初の月にやった2本の記事はレギュラー化したため、この月の収入は17万5000円。特集を作っていた3週間はとんでもない忙しさでした。
朝7時に起きて翌朝4時まで働き続けるような日も何日もあり、こりゃ会社員時代よりも忙しいじゃねーか、と思ったものです。しかし、翌月になると8ページの大特集はなく、レギュラーの2つの記事だけなので再び暇になる。そうするとテレビを見たり自転車に乗って遠出をするような日々になります。他に電話番のバイトをしたため、23000円の収入がありました。
毎日誰かから仕事が与えられるわけではないため、結局自分で営業をしたり忙しい先輩を手伝ったりしているうちに暇過ぎる時間はなくなっていくのですが、とにかく初期の頃のフリーは要領が悪いうちは「暇過ぎる」「忙し過ぎる」のどちらかしかなくなります。