新型コロナウイルスの感染拡大が全世界に広がり、世界経済は急減速を始めています。これらに対応するため、各国の政府は強力な景気刺激策の準備を進めています。アメリカのトランプ政権が、経営が悪化している企業の支援や納税の猶予などで、合わせて100兆円を超える大規模な経済対策を検討開始。日本政府も現金給付など総額で30兆円超の経済対策を検討していると報道されています。

また、金融市場も混乱を続けているため、世界の中央銀行は強力な金融緩和策を打ち出してきました。米連邦準備理事会(FRB)が3月15日に、政策金利をほぼ0%まで切り下げ、7,000億ドル規模の量的緩和政策を導入。

日本銀行も3月16日に前倒しで金融政策決定会合を開いています。上場投資信託(ETF)買い入れの年間目標額を、現行の6兆円から当面の間12兆円に拡大すると発表しました。また欧州中央銀行(ECB)も3月19日に官民セクター債券を対象に7,500億ユーロの緊急買い入れプログラムを発表しています。

このように、量的緩和など強力な金融緩和策が採られる中で、注目される可能性が考えられるアセット(資産)にはどのようなものがあるのでしょうか?


リーマン後、ゴールドは買い進まれた

前回、大規模な量的緩和策が採られた際に注目されたアセットとしてはゴールド(金)が挙げられます。下のグラフは、2007年以降のFRB バランスシートと金価格を比較したものです。

FRBバランスシートと金価格

FRBは、2008年に発生したリーマンショックをきっかけとして量的緩和に動き、FRBのバランスシートを急拡大させていきました。これが長期的なドルの減価をもたらすとの見方から、増発ができずに安定した価値を維持できる資産として、ゴールドが買い進まれていったのです。

では、今回も同じような動きが期待できるのでしょうか?

ゴールドはインフレにも強い資産

いち早く新型コロナウイルスの感染拡大が広がった中国では、気になる傾向が出てきています。中国国家統計局が10日に発表した2020年2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比5.2%上昇するなどインフレの傾向が出始めています。

12年前に経済が大きく落ち込んだリーマンショックの時には、アメリカの金融機関が破綻したことにより金融が目詰まりを起こし需要が消滅、経済はデフレ色を強めていきました。つまり現金の価値が高まるデフレ下でもゴールドは価値を増していったのです。

一方で今回のコロナウイルスは、需要だけでなく生産活動にも多大な影響を与えています。労働者の移動が制限されているため、各国の店舗や会社、工場は業務を再開できず、供給ショックも発生しているのです。このため、経済が落ち込む中でもデフレとはならずにインフレ傾向となっているのです。ゴールドはコモディティの一種であるため、元々はインフレにも強い資産と言われています。つまり今回のほうがゴールドにとって追い風にあるといえるのです。

以前は現物で購入する必要がありましたが、現在では金価格連動型上場投資信託(1328)や純金上場信託(1540)などETFを通じて購入することも可能です。資産価値の維持を目的とする上では有用なツールになるといえるでしょう。

<文:シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎>