はじめに

「今の手取り」と「将来の年金」を増やすためにできる“4つのこと”

1.社会保険完備の会社を探す
今の会社では収入を増やしても社会保険に入れないため、将来の年金を増やすことも、病気等で働けない時に傷病手当金を受け取ることもできません。

難しいかもしれませんが、次の働き口として、社会保険に入れる会社を探すことも検討してみてはいかがでしょうか。もし、社会保険に入れる会社に勤めることができれば、将来受け取る年金も増やせます。

たとえば52歳から65歳までの13年間、厚生年金に加入できると、年間約14万円増やすことができます。厚生年金保険料の負担は年約17.6万円(※)です。(※標準報酬月額16万円/令和2年4月現在の場合)

図2

厚生年金保険料は約17.6万円、国民年金保険料は約20万円と、国民年金よりも低いにもかかわらず、将来受け取る年金額を1年あたり約14万円も増やすことができ、受け取り始めてから16年後の81歳まで生きていれば、元も取れてしまう計算となります。

2.付加年金に入る
国民年金の第1号被保険者には、独自の上乗せ年金制度があります。それが「付加年金」というものです。国民年金保険料を払っても年金額は増えないと前述しましたが、付加年金保険料を上乗せして払うと、将来の年金を増やせます。

<付加年金制度>

毎月400円の付加年金保険料を国民年金保険料に上乗せして払うと、払った期間に応じて、付加年金がひと月あたり200円上乗せして支払われます。年金を受け取り始めて2年で元が取れるだけでなく、一生上乗せされ続けるので、とてもお得な制度です。

【例.9年間納付した場合】

付加保険料:400円×9年×12ヵ月=4万3200円
上乗せされる付加年金:200円×108ヵ月(9年)=2万1600円
国民年金が年額2万1600円増額されます。
※なお、付加年金は定額のため、物価スライド(増額・減額)はありません。

3.年金保険料を前納する
国民年金保険料の負担がかかっても将来の年金が増えないのは前述のとおりです。そこで、今の手取り収入を少しでも増やすよう工夫しましょう。その一つが「保険料の前納」です。

<国民年金保険料の前納による割引>(令和2年度)

・1年度分を前納:3520円の割引(19万8480円→19万4960円)
・6カ月分を前納:810円の割引(9万9240円→9万8430円)
・2年度分を前納:1万4590円の割引(39万7800円→38万3210円)

前納の手続きは締め切りが決められていますので、過ぎないように手続きをしましょう。スケジュールについては、日本年金機構のホームページをチェックしてください。

4.iDeCo(個人型確定拠出年金)を始める
保険料の前納の他にも、今の手取り収入を増やすためにできることがあります。そのひとつが「iDeCo加入による節税」です。iDeCoとは、掛金を積み立て60歳以降のじぶん年金を作ることができ、掛金に応じて加入中の税金を減らせる国の制度。

たとえば毎月3万円の掛金を拠出した場合、年間5万4000円(※)の節税をすることが可能です。また、積み立てた掛金は非課税で運用することができ、利益に税金がかかりません。毎月3万円を60歳まで9年間積み立てると、元本は324万円に。多少手数料が引かれ322万円となりますが、60歳時点で322万円もの自分のお金を作ることができるのは嬉しいですね。(※所得税5%、住民税10%として計算した場合)

iDeCoでは、定期預金で積み立てるだけでなく、投資信託で運用して積み立てることも可能です。掛金の一部を、世界分散できる投資信託に振り分けて積み立てることで、殖やすこともできるかもしれません(もちろん殖えるとは限りませんが)。

目先の利益にとらわれず、できることから始めよう

下のお子様も大学生になるとのこと、あと少しで教育費からも解放されますね。たしかに老後に向けた貯金も必要ではありますが、長い人生ですので、お金の視点にプラスして「どんな将来にしたいか」と考えて、働き方を考えてみましょう。

目先の収入アップがあまり多くなくても、働く機会を増やすことは、きっと大事な経験となることでしょう。ご自身の身体や心の状態、価値観、性格も合わせて考えて、できることから少しずつ始めることが大切です。

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