はじめに

奨学金を活きた経済教育に

私立中学校から高校、大学、そして仕送り……というのは「できるだけのことをしてあげたい」という想いがあっても、家計負担は大きいはず。お子さん自身が学ぶお金ですから、進路に加えて家計や奨学金の話をすることで、活きた経済教育につなげましょう。

大学以降は下宿とのこと。最近は、大学独自の給付金や奨学金が増えています。大学選びの段階から大学独自の奨学金や寮情報を、親子で調べるようにしませんか。

奨学金の延滞がクローズアップされるようになってから、「子どもに奨学金を借りさせたくない」という親御さんもいらっしゃいます。確かに、奨学金の借り入れがないほうが、就職後のお子さんの家計は順調だと思います。ただ、延滞における実態調査を見ると、きちんと返還している人の9割は、申し込み前に返還義務を知っていますが、延滞している人たちの5割は申し込み前に返還が必要なことを知らず、また、卒業後(貸与終了後)に知った人も2割いるというのが現状です。奨学金や学費という子どもに直接かかるお金について、話し合う機会をつくってみませんか。

なお、教育資金は奨学金や教育ローンで借り入れることができ、マイホーム購入には住宅ローンがあります。でも、「老後ローン」はありません。家計が苦しい場合は奨学金を利用し、老後のめどが立ったら代わりに返還するという、柔軟なプランも検討してみてください。

家計で見直しの余地がある支出は?

家計の見直し余地があるのは、水道光熱費と保険料です。

お住まいの地域(東北地方)の水道光熱費の平均額は、月額約2万円です。季節柄変動はありますが、現在の支出は高めのようです。供給会社の見直しや使いかたなどを家族全員で話し合ってみてください。

次に保険料ですが、ご主人が厚生年金や健康保険に加入しており、さらに、住宅ローンの団体信用生命保険がある状況での保険料3万円は、保障が手厚すぎる可能性があります。

死亡時には、18歳未満の子どもがいる人が受け取れる遺族基礎年金(年間約100万円)と遺族厚生年金(給料や勤続年数によって異なる。子育て世帯での目安年40万円前後)がありますし、病気などで働けない場合は、健康保険から傷病手当金(給料の約3分の2)などのお金を受け取ることができます。

毎月の給与やボーナスから納めている社会保険料の中身をしっかりと確認して、多すぎる保障があれば減らすことで家計のプラスを増やしてみませんか。

なお、住宅に係るメンテナンス費用など、将来のイベント支出の把握がしっかりとできてらっしゃいます。マイホームのメンテナンス費用は必ず掛かりますから、外壁の塗装は何年おきに行うのか、次の水回りやボイラー交換はいつ頃なのか、など金額に加えて耐用年数を想定して、コツコツ貯めていきましょう。

現在も、年間100万円近いお金が貯蓄できています。住宅ローンがあと16年残っていますが、お子さんが就職する頃には学費と仕送り費がなくなるため、その分を繰り上げ返済や老後の貯蓄に回すことができます。ねんきんネットを使って老後の年金額をシミュレーションすると、老後の準備と教育の準備の両立がしやすくなります。

娘さんのための教育資金、そして、お二人の老後資金と、安心してお金が使えますように。

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