はじめに

高齢者詐欺との共通点

これはアンケートと称し個人情報を聞き出して、スマホで消費者金融のサイトにアクセスして借金をして、お金を騙し取る手口です。しかも、謝礼をあげて信頼させたうえで、個人情報を聞き出すなど非常に巧妙といえます。

やはりここでの一番の問題は、暗証番号を教えてしまったことでしょう。口座からの引き落としの登録をするときには、暗証番号が必要になりますし、学生は「借入金は口座には入金されていない」とも言っていますので、事前に口座の変更をしたのかもしれません。どうしても若い世代は、口座にたいした預金がないから大丈夫と思って、安易に暗証番号を教えてしまいがちですが、そこが危険なのです。

おそらく「アンケートのアルバイト」と声をかけた段階で、小遣いがほしい状況や、この種の騙しに免疫のない人だという情報も得たうえで、詐欺を行ったと思われます。若い人たちはお金がもらえてラッキーと思わされながら、詐欺の“服”を着させられるケースが多いのです。

考えてみれば、この手口には高齢者の被害が多発している特殊詐欺との共通点も見られます。

今、被害で多いものに、キャッシュカードの詐取があります。警察関係者が「あなたの持っている銀行口座からお金が不正に引き出されている」と嘘の電話をかけて、「キャッシュカードを止めてください」「カードを新しいものにかえてください」といって、家にキャッシュカードを騙し取りにきます。警察庁が発表した令和元年の特殊詐欺の被害では、このカード窃盗によるものは、全体の認知件数の54%に上っています。やはり、この手口においても相手に暗証番号を教えてしまっていることが肝でしょう。それにより、騙し取られたカードでATMからお金が引き出されてしまいます。

ここから、世代別の詐欺の手口が見えてきます。

学生はお金がたんまりと入っている銀行口座は持っていませんので、スマホの画面にて相手の個人情報を勝手に入力してお金を借り、それを騙し取るというデジタルな方法を取ります。それに対して、高齢者はたくさんの貯金をもっているので、キャッシュカードを騙し取ったうえでATMからお金を引き出すというアナログな手法を使います。ただし、暗証番号を入手して、お金を取るところは同じです。

現代の詐欺は、「暗証番号を聞き出す」です。くれぐれも大事な情報は第三者に教えないようにしてください。