はじめに
保険の解約を考えたらチェックしたい「3つのこと」
家計を見直す基本は「固定費」を減らすことですので、保険を見直して保険料を減らすことは効果大! しかし安易に保険を解約するのはNGです。保険の解約を考えたら、次の3つについてチェックしましょう。
【1.何のために入ったかをあらためて考えよう】
保険に加入した時、どんなきっかけで、何のために入ったかを思い出してください。ご相談者様の場合、貯蓄性保険の目的はお子様の大学入学資金、そして終身保険は、夫が死亡または三大疾病になった際に不足するお金に備えつつ、生きていれば老後資金として活用したい、という目的で入ったのではないでしょうか。終身保険を解約すると、夫が死亡または三大疾病になった際への備えがなくなりますので、それで大丈夫かを考えましょう。
【2.保障が重複していないか、すべての加入保険をチェック】
同じような保障について、複数の保険に加入していないかを夫婦でチェックして。たとえば三大疾病特約がついている医療保険に加入していたり、夫が自分で会社の保険や共済に加入していて、保障が重複しているケースもよくあります。この機会に、家族全体がどのくらい保険で備えているかを洗い出すとよいでしょう。重複している保障があれば、その部分について一部保障を減らしたり、解約することができます。
【3.我が家に必要な保障がどのくらいか計算しよう】
保険のコストを抑えるコツは、「必要保障額」について「掛け捨て」で備えることです。ご相談者様の家庭の「夫が死亡した場合の必要保障額」はいくらでしょうか。ご相談者様は就労収入があるため、お子様の大学卒業後は就労収入と遺族厚生年金で生活できると仮定し、21年後までにかかるお金に備える必要保障額を試算します。
【必要保障額の算出方法】
必要保障額=これから必要になるお金-(これから入ってくるお金+今の貯金額)
<これから21年後まで必要になるお金>
■生活費:毎月30万円(21年後まで)
ご相談者様の場合、夫の死亡後は保険料負担(6万円)がなくなりますが、夫の社宅がなくなるため住居費は上がると考えられます。夫が負担している携帯代が不明ですが、たとえば住居費10万円、携帯代と通信費合わせて2万円とした場合、毎月の支出は約30万円です(家族が減るため生活費を減らして試算するのが一般的ですが、お子様にかかる生活費はこれから上昇するので今と同じレベルとしています)。
■教育費:お子様二人合わせて3000万円とします。
■その他にかかるお金:年50万円とします。
合計すると、30万円×12ヵ月×21年+3000万円+50万円×21年=1億1610万円
<これから21年後までに入ってくるお金>
■遺族基礎年金:14年後まで123万1500円/年、14年後から17年後まで100万6600円/年
■遺族厚生年金:30万8300円/年
(夫の今の年収を300万円と仮定、年金計算は令和2年価額によるもの)
夫が亡くなった後、ご相談者様は遺族厚生年金を一生(※)、遺族基礎年金を下のお子様が高校卒業(18歳到達後の3月末)まで受け取れます。
(※ご相談者様が老齢厚生年金を受け取る65歳以降は調整されます)
■死亡保険金:貯蓄性保険・死亡保険合わせて1600万円とします。
■妻の年収:19万円×12ヵ月+130万円=358万円
合計すると、123万1500円×14年+100万6600円×3年+30万8300円×21年+1600万円+358万円×21年≒1億1792万円
<今の貯金額> 290万円
よって、ご相談者様の場合、夫の万が一に備えた必要保障額は以下のようになります。
1億1610万円-(1億1792万円+290万円)=▲472万円
保障はなくても大丈夫という結果となりました。
しかし、夫が亡くなった場合、今の年収を保って働き続けるのは難しいかもしれません。もし年収が358万円から200万円となった場合、必要保障額はプラスに転じ、約2800万円となります。お子様がいる共働きの場合、ライフプランがどうなるか読めないため、できれば夫婦とも死亡保障を1000万円程度ずつかけていると安心でしょう。