はじめに

もやもやを生み出す原因は

テレワーク環境の「働かないおじさん」をきっかけに、周囲がもやもやを感じる理由のひとつに、上司のマネジメントに対する不安があります。

時間的・地理的に上司と離れて仕事をしている状態で、働かないおじさんが「サボっている(少なくともメンバーからそう見える)」と、「上司はきちんとマネジメントしているのか」と疑問に思うでしょう。

それがひいては、テレワークしている自分自身についても上司から、「きちんと見てもらえないのでは」という不安につながるのです。

それだけではなく「自分はこのままで成長できるのか」という不安も生まれます。テレワークには、メリットも多いですが、業務遂行に支障をきたすといった思いや、協働が阻害されるという思いを抱く人も少なからずいます(前述「テレワーク緊急実態調査」より)。

「働かないおじさん」という仕事人生をこのままでも逃げ切れそうな人の存在によって、今後も仕事人生が長く続く自分は、あの働き方ではまずいという焦りを生むのです。

「働かないおじさん」に同僚や上司はどうする?

では、「働かないおじさん」を目の当たりにしている職場の同僚や上司、そして働かないおじさん本人は、このような環境下で何をしていったらよいでしょうか。

まず同僚の方は「働かないおじさん」という“過去”ではなく、未来を見ましょう。テレワークをはじめとした働き方や、活躍する人材像は変化の渦中にあります。テレワークは、自分が生む価値は何かを考え、社外ひいては世界中の人とコラボレーションする力をつける絶好の機会かもしれません。

また、上司に自分の状況や成果を報告することもポイントです。前述の「テレワーク緊急実態調査」によれば、「テレワークによって上司自身が部下の状況がわからないこと」に不安を覚えています。

特にテレワーク経験のある上司の約7割が、部下がテレワークによって心身に不調をきたしていないかを心配しています。一連の仕事が終わったタイミングや、上司に相談している内容に進捗があったときなど、部下から適切なタイミングで報告や相談が来ていれば、上司も安心してみなさんに仕事を任せるでしょう。

次に上司は「働かないおじさん」に、尊敬と期待をもって接してください。働かないおじさんがほとんどいない企業では、年配の社員に対する周囲、特に上司の関わりが秀逸です。そこでのポイントは、年配の社員に尊敬の気持ちを持つこと、そして、さわやかに期待・要望をすることです。「働かないおじさんだから」という目で見るのを一旦止めて、組織としてやって欲しいことや、部下のグレード・等級に応じた役割分担や動き方を提案しましょう。

最後に、自分が「働かないおじさん」かもしれないと思う方は、自身のWill(やりたいこと)、仕事や人生を通じて成したいことを改めて考えることです。これまで通勤にかかっていた時間で、キャリアの集大成としてできることを考えてみませんか。

もし「やりたいことが思いうかばない」「今さら遅い」といった心の声が聞こえてくるようなら、最初は「せっかくなら、後輩が素敵だと思う先輩になる、そうした仕事をする」といったことでもよいかもしれません。

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