はじめに
日本型企業統治の問題
なぜ、このような結果となったのでしょうか。それは近年、日本型の企業統治が本当に企業のため、そして株主のためになっているのか投資家の間で疑問を持つ人が増えたからです。
今回の分析では株式保有比率がメインバンクとの結びつきの強さとしています。このため保有比率が高いメインバンクは大株主としての立場も兼ねています。ですから会社の利益が高くなり、株高となれば他の株主と同様にメリットを受けられます。とは言え、メインバンクの立場から“融資”の観点から見れば、貸したお金の利息が高ければありがたいわけです。
一方、企業から見れば利息の支払いは費用になります。また企業側から運転資金や設備投資などに回したいお金があっても、逆に銀行から見ればキッチリ返済してもらうことの方が重要になるときもあります。
こうしてみると、メインバンクの結びつきが強い企業は、冒頭でお話ししたように株主のための“上手に経営を行う”という企業統治の観点にそぐわないケースがでてくるのです。
メインバンクの株主保有比率は、会社のウェブサイトで閲覧可能です。
今回の分析で好パフォーマンスを示したのはメインバンクの株主保有比率が下位2割の企業でした。そしてその保有比率の基準は1.6%以下となります。株主のための企業統治の観点から、長期投資では注目したい基準となります。