はじめに
地方在住の高齢者が新たなターゲット
それに対して、地方では新型コロナの全国への蔓延を防ぐために、首都圏からの息子、娘の帰省の自粛を促されていますので、親の元に帰れない人が多くいます。しかも、高齢者はコロナ感染のリスクを減らすため、あまり外へ出かけずにいます。
在宅率が高い上に、子供や孫たちが田舎にも帰れない状況なので、詐欺師は地方に住む一人暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯を狙う戦略を立てやすく、それゆえに被害件数が地方部で増えていると考えられます。
詐欺師は私たちの警戒の隙間を塗って、騙しの電話をかけます。ここ数年、詐欺被害が少ないから、今年も減るだろうと考えることはとても危険なのです。それは過去の事例を見てもわかります。
大阪のおばちゃんもだまされる
以前は「大阪のおばちゃんは振り込め詐欺にだまされない」と言われてきました。確かに、「オレオレ」と偽の息子が電話をかけても、突っ込みが鋭い大阪のおばちゃんたちは根掘り葉掘り相手の嫌がる質問して、撃退できる傾向はありました。
しかし大阪では、2016年度の振り込め詐欺の「還付金詐欺」と「架空請求詐欺」の被害が全国のワーストに入るほどに増加したことがあります。
これは、大阪弁を使う詐欺集団が出たことに加えて、「払いすぎた保険料を戻しますからATMへ行って手続きをしてください」という還付金話を持ち掛けられると「もらえるものは、もらっておこう」と思ってしまい、結果、騙された人が多くいたのです。大阪人の気質を巧みに突かれたともいえるでしょう。
このように、これまでにない新たなアプローチで来られると人は案外、脆いものです。今の状況は、これと同じことがいえます。新型コロナに便乗した、これまでにない「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」が出てきていますので、昨年被害件数が減っていた41道府県が、必ずしも今年も被害が減るとは限りません。
被害が少なかったのは、ただ詐欺師にあまり狙われてこなかっただけと考えて、しっかりと一人ひとりが警戒の手綱を引いて、身を守ることが必要なのです。