はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が従業員に在宅勤務を要請し、テレワーク需要が拡大。カンファレンスイベントの中止、フライトのキャンセル、小売店や飲食店への打撃など各方面で影響が出ています。また、教育機関でもオンラインでの授業が始まり、外出を控えるようになる中、コミュニケーションや余暇のために世界全体でアプリへの需要は高まるばかりです。
世界各国や日本でどのように消費行動に変化が現れているのか、アプリ市場データを提供するアップアニーのデータを元に解説します。
日本人のアプリ利用時間は長い?
世界平均で1ユーザーあたりのアプリの利用時間は、2019年に3時間45分を記録し、2年前対比で 35%増加しています。特に、インドネシア、ブラジル、インドといったモバイルファーストの新興市場(モバイルがPCなど他のデバイスよりも普及している地域)での伸びが顕著です。日本においてもアプリの利用は年々増加傾向で、前年比で15%成長しています。
一方で、スマートフォンにインストールされているアプリと実際に使われているアプリの割合に差があることが、以下の表からわかります。
日本のユーザーは平均101のアプリをインストールしながらも実際には30%弱のアプリしか使っていないのです。世界全体を見てもシンガポール、米国に次いで実際に使われているアプリの割合が低いという結果が出ています。
また、アプリストアには100万を超えるアプリが存在しています。その無数のアプリでの競争が激化しているため、特定のカテゴリやジャンルだけではなく、アプリ市場全体を見るべき指標として意識するとよいでしょう。
コロナでダウンロード数を伸ばしたアプリは
3月以降、世界各国でロックダウンが実施されたことがきっかけとなり、生活が一変したことがアプリ市場データから読み取れます。
スペイン、イタリア、米国、英国といったロックダウンを実施した国では、顕著にアプリダウンロード数の増加が見られます。このような地域においては、特に、ビデオ会議やチャットアプリなどのビジネスアプリの需要が増加し、ダウンロード数を増やしています。
世界全体のアプリ収益においては、ビジネスアプリに次いで、動画ストリーミングアプリや動画配信アプリ、写真加工アプリなどが収益を伸ばしています。日本では、「ニュース/雑誌」カテゴリが収益を伸ばしており、情報が錯綜するコロナ禍においてユーザーは、ニュースアプリやキュレーションメディアからタイムリーな情報を得ているようです。
日本においても、4月7日より緊急事態宣言が発動され、外出自粛がさらに加速しました。アプリ市場全体においても、アプリカテゴリ全体のダウンロード数は上昇傾向にあります。大きくダウンロードを伸ばしたカテゴリとして、「ビジネス」が170%増、「教育」が120%増、「ニュース/雑誌」カテゴリが65%増、「メディカル」が60%と続く結果となりました(緊急事態宣言が出た週である4月5〜11日と、2019年第4四半期のデータを比較)。
「Google Classroom」など、オンラインで授業を行う教育機関が急増していること、オンライン診療が導入されつつあり、お薬手帳アプリなどが活用されていることから、上記カテゴリーのアプリが成長しています。