はじめに

普段よりトラブルが起こりやすくなる

2月27日の夜、政府からの臨時休校要請が出され、その後、先の見えないまま、年度を跨ぎ長引く休校期間。

子どもたちは休校中であることに加え、外出自粛要請もあり、実際に顔を合わせることのないまま、オンラインゲームやLINE、SNSなどを通じて、バーチャルや、対面しないかたちでの人間関係だけが続く環境にあります。

コロナ禍で世間がピリピリしたムードにあること、大人たちですらSNSなどで匿名を使い攻撃的な暴言を吐いたり、不平不満やネガティブな感情が渦巻いています。

子どもたちは、そんな大人たちの雰囲気や、世間のムードを敏感に感じ取り、また影響も受けるでしょう。そんななかでオンラインゲーム内でのトラブルが、普段より起こりやすくなってしまっても不思議はありません。

またゲームには「ゲーム依存症」「スマホ依存」などとも通称される「インターネットゲーム障害(※1)」の問題もあります。ゲームをはじめ、子どものスマホ利用については、休校中に限らず、普段から悩みを抱えている家庭も多いでしょう。

スマホへの依存、中毒的な利用は、脳へ物理的な変容をきたすとの研究論文(※2)もあります。スマホ依存症者の脳について調べたところ、渇望感、抑制制御能力、自分を客観視する能力、注意力に関わる、脳の前頭葉を中心とした部位に、薬物依存症者と似た変容が表れたといいます。これは、ギャンブル依存症、買い物依存といった、ほかのプロセス依存(特定の行為や過程への依存)に陥っている人の脳と同様であるというのです。

次回以降、依存症専門家の見解、ゲーム依存症を含めた未成年者の依存症に対する回復支援として、当事者や家族に対し行われている取り組みを交えてお伝えします。

※1「インターネットゲーム障害」Internet Gaming Disorder, DSM-5/米国精神医学会(American Psychiatric Association )による“Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition” (DSM-5)、日本語翻訳書『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』日本語版用語監修:日本精神神経学会(医学書院)
※2「スマホ依存は脳を物理的に変容させる」“Structural and functional correlates of smartphone”(Horvath et al., 2020)

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