はじめに
貴金属の購入もわずかに増加
今回、最後に注目しておきたいのは「貴金属」です。貴金属は新型コロナ流行前から3%上昇しています。
図表は純金のドル建て価格推移です。先月には、2011年の最高値1896.50ドルに迫る1741.90ドルをつけ、年初の最安値から14%程度も価格が上昇しました。日本市場では、2013年から続いた円安基調の後押しもあって、18日には1982年以来初めて1グラム6000円を超えました。
一般的に、金をはじめとした貴金属は、景気後退などにより、国が発行している現金の信用が低下することによって相対的に価値が上昇する傾向があります。貴金属の購入額の伸びからは、投資家心理だけでなく、消費者心理としても現金よりも安全な資産へ資金を分配し、リスクを回避しようとする動きが観測できます。
アフターコロナで“元どおり”になるのか
ここまで新型コロナ前後で消費動向の変化を確認しました。筆者としては、ここから新型コロナが収束すると同時に打撃を受けた業種が2020年1月の数値に戻るのかを注視したいと考えています。
当初こそ、動画配信サービスの利用度上昇やオンライン飲み会という新しい試みは「映画館や居酒屋に行けない」という事情から仕方なく選ばれていた節もあるでしょう。
しかし、皮肉なことであるかもしれませんが、コロナ禍によって、このようなサービスの利便性に初めて気がついた方々も少なくないのかもしれません。そうすると、コロナ禍をきっかけに今回スポットライトを浴びた業種が引き続き消費者の支持を集め、利用頻度が減少した業種に消費者が完全に戻ってこないというリスクに注意が必要であると考えます。
<Finatext グループ 1級FP技能士 古田拓也>