はじめに
民間ロケット事業や和牛ビジネスなどを手がける堀江貴文さん。仕事のほとんどをスマホでこなし、長い間パソコンを開いていないといいます。堀江さんはどのようにスマホを使い、お金を稼いでいるのでしょうか。著書『スマホ人生戦略 お金・教養・フォロワー 35の行動スキル』(学研プラス)から一部抜粋して紹介します。
僕たちの仕事や生活は、スマホによって日々快適に変わり続けている。例えば車で移動したいとき、以前なら電話でタクシーを呼んでいた。
しかし、いま、海外ではUberを使ったほうがはるかに便利だ。電話で配車を頼む手間や支払いなど、無駄なコミュニケーションをきれいにカットできる。
ビジネスも同様で、情報収集はニュースアプリで、メッセージのやりとりはLINEを使って短時間でできてしまう。企業のPR活動でさえ、Twitterを使ってスマホ1台で大きな成果を上げることができる時代だ。
時間を有効活用することの大切さを、本書を含め、僕はずっと変わらずに説いている。これはスマホが普及していなかった時代からだ。
僕は何をするにも、まず時間の最適化を考える。スマホが出現するまで、時間の最適化にいちばん役立っていたのは、やはりお金だ。
作業時間の短縮のためにお金を払って人に頼んだり、移動距離を短縮するためにお金を払って相手に来てもらったりなどして、自由な時間を手に入れていた。
しかしスマホが進化した現在、作業時間も、移動時間も、スマホの機能を駆使して短縮することができる。
実際は、いまでもお金のほうが便利に使えたりする。しかし、スマホがお金を超える価値を持って、生活の最適化に効果を与える時代はそう遠くない。
お金を使うのではなく、スマホを使うことで、便利で快適に過ごせる時代が到来しようとしているのだ。
お金を貯めるより、お金を使って得た経験を重視しろ
人々がお金を使うとき、最大の障害となるのは「貯金信仰」だ。子どもの頃から、僕たちは「いざというときのために貯金しておきなさい」と、親や学校から教育される。
僕は不思議でならなかった。なんで貯めなくちゃいけないんだ? と。小学生時代、郵便局員がやって来て、お年玉を貯金するよう奨励された。
僕がもらったお年玉を知らないおじさんが回収して、貯金通帳に数字で記録してしまうのが、どうしても納得できなかった。
すでに知られている話だが、貯金は第二次世界大戦の直前、戦費調達を目的に、政府がなかば強制的に全国に奨励したシステムだ。
戦争がなくなった現代では戦費に代わり、莫大な国債を償却することに預金者のお金が運用されている。そんなおかしな機関に大切なお年玉を吸い取られたバカバカしい記憶は、いまも拭えていない。
大人は口を揃えて「いざというときのためにお金は大切」と言うけれど、本当にいざというときに遭遇したら、逃げるための知恵や信頼できるコネクションなど、お金よりもっと重要なものがあることを教えるのが大人の役割だと思う。
説教くさい話をするつもりはないが、お金を大事にしろという前に、お金の本当の意義とか、お金の正しい使い方を子どもたちにきちんと教えるべきだ。
それを怠った結果として、貯金信仰に縛られた人間ばかりの、閉塞した社会ができてしまったのではないか。
貯金信仰に縛られてはいけない。
お金は、使わなければダメなのだ。