はじめに
ちょっと前の話で恐縮ですが、新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が急落しました。最近は投資信託で積立投資をしている人も結構多いと思いますが、その損益状況はどうなっているのでしょうか。
株価暴落時にやってはいけないこととは?
個人型確定拠出年金が「iDeCo」の愛称のもと、第三号被保険者(専業主婦)や公務員でも加入できるようになったのが2017年1月、つみたてNISAの開始が2018年1月で、これらを機に投資信託の積立購入を始めた人は結構多いと思います。
そういう人たちにとって、コロナショックは初めて経験する株価暴落でした。中には「もう積立やめよう」とか、「もっと下げたら怖いから解約してしまおう」などと考えた人もいたのではないでしょうか。実際、コロナショックで株価が急落した後、マネー系のメディアでは、「株価暴落時にやってはいけないこと」といったタイトルのコラムが目立つようになりました。
そこで書かれていた対処法は、「積立投資を止めずに継続すること」という点で共通していたのですが、果たして本当でしょうか。実際にデータを用いて検証してみたいと思います。
ドルコスト平均効果のメリット
事例として、2本のインデックスファンドを取り上げてみました。ひとつは米国の代表的な株価指数である「S&P500」への連動を目指すファンド、もうひとつは「日経225平均株価」への連動を目指すファンドです。
インターネット証券会社の中には毎日積立サービスを開始したところもあるので、ここでは上記2タイプのインデックスファンドについて、以下の条件で毎日積立をした場合の運用成績を検証したいと思います。
・投資開始=1月31日
・積立金額=日額2,000円
・購入時手数料=無料(ノーロード)
積立金額は日額2,000円ですから、1カ月の営業日数が20日だとしたら、毎月の積立金額は4万円前後になります。ちなみに毎日積立のサービスは、積立金額について月額設定と日額設定を選べるようになっています。
では、積立投資の結果はどうなったでしょうか。1月31日から5月20日まで毎日2,000円ずつ積み立てた場合、総投資金額は14万4,000円になります。
この間、S&P500への連動を目指すインデックスファンドの基準価額を見ると、1月31日が1万2,168円で、5月20日が1万776円。日経225平均株価への連動を目指すインデックスファンドの基準価額は、1月31日が8,512円で、5月20日が7,543円でした。
両ファンドとも1月31日にまとまった金額で購入していたら、5月20日になってもかなり大きな損失を被っていることになります。
これに対して日々、積立投資を継続した時の買付総口数に1口あたり基準価額を掛けた時価評価額を計算すると、S&P500インデックスファンドが14万7,297円。日経225平均株価インデックスファンドが14万7,654円になります。
そうなのです。1月31日に比べて5月20日の基準価額は値下がりしているにも関わらず、毎日積立を継続していくと、若干ではありますが利益が得られている結果となりました。
「なんで?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思いますが、これこそ定額積立投資だからこそ得られる「ドルコスト平均効果」によるメリットなのです。