はじめに

新型コロナウイルスの影響で株式市場が急落した3月。多くの個人投資家がどこまで株価は下落していくのかと不安になっていましたが、それから2ヵ月以上が経過し、日本だけでなく欧米の株価も順調に値を戻しています。一方で、3月以降に発表された経済指標や企業業績は軒並み悪化しています。なかには史上最悪レベルのものも散見されるため、株価と実体経済の乖離をみて、「コロナバブル」という言葉をメディアで目にする日も増えました。今回は足元の実体経済について見ていきましょう。


株価は急落から一気に回復

新型コロナウイルスがまだ世界的な感染拡大を引き起こす前の1月20日、日経平均株価の終値は24,083円と高値水準にありました。

しかし、徐々に新型コロナウイルスの感染拡大が進み、感染者数や死亡者数が急増すると同時に株式市場は世界同時に急落しました。日経平均は3月19日の終値は16,552円と31.3%も下落しました。たった2ヵ月のうちに株価指数が30%以上も急落したわけですから、個人に限らず多くの投資家が狼狽したことでしょう。しかし、その後は株価指数は世界的に値を戻しています。

日経平均は5月28日の終値で21,916円と安値から32.4%戻しています。今度は約2ヵ月で30%以上も上昇しました。日本の新興市場の代表的な株価指数である東証マザーズ指数にいたっては、2018年12月以来の高値まで急騰しています。

株価は将来の業績への期待 

これだけ短い期間で株価指数が急落してから急騰すると、次の株価の動きに疑心暗鬼になるかもしれません。そもそも、株価とはなんなのでしょうか。簡単に言えば、投資家の将来の業績に対する期待が表れたものが株価です。

新型コロナウイルスの感染が拡大していくなかで株価が急落したことはよく理解できると思います。ワクチンも特効薬もないウイルスが世界中にものすごい速さで拡大し、感染拡大を防止するために世界中の各都市で都市封鎖(ロックダウン)が行われた訳ですから、将来的に企業業績は悪化すると容易に想像できるからです。

しかし、感染者数はピークをつけて減少傾向にあるものの、依然としてワクチンも特効薬もなく、経済活動の再開による第二波の懸念もあります。それにも関わらず、世界的に株価指数が上昇していることから、実体経済と株価の乖離を指す「バブル」という言葉を使う人も増えてきました。

足元の企業業績を見てみましょう。東京商工リサーチの調査によれば、5月27日までに新型コロナウイルスの影響や対応などを開示したのは、全上場企業の約9割となる3,307社でした。そのうち、業績の下方修正をした企業は783社ありましたが、その下方修正額は売上高が約5.5兆円、利益は約3.3兆円にもなります。

更に、翌期の業績見通しは「未定」、つまり予想が出来ないとした企業は全体の約6割にも及びました。足元の業績もボロボロ、将来も見通せない。このような状況にもかかわらず、株価が上昇しているのです。それでは、企業業績ではなく、日本の経済について見てみましょう。