はじめに
自分にだけ負担がかかって
ところが子どもが生まれてみると、状況は変わります。ユカリさんも残業はしないと会社に申し入れ、会社も認めてくれました。それでも時間が足りません。
「家事も育児も完璧にやりたいと思った時期があったんです。ただ、それだとどうしても自分が疲れ果ててしまう。近所の先輩ママが、とにかく手抜きよ手抜きって教えてくれて(笑)」
協力し合ってやっていくと約束したはずの夫は、接待だのつきあいだのと帰宅が遅く、あてになりません。洗濯物を山のように積んでおいて、「これはよろしく」とメモを乗せておいたこともあります。そうでもしないと、夫が動こうとしなかったからです。
「それでもいつの間にか家の中は汚くなるし、子どもはうるさいし(笑)。そこで家電製品を一新したことがあります。自動掃除機、食洗機、洗濯機も乾燥機つきにして、冷蔵庫も大きいのに取り替えて。それでかなりラクにはなりました。家事の時間を削って、もっと子どもとの時間を大切にしたかったんです」
家事をプロに任せるという選択
孤軍奮闘していると自分でも感じていました。がんばりすぎて倒れたら元も子もないと思い始めたのが5年ほど前のことです。
「ある日ふと、家事は家事のプロに任せてもいいんじゃないかと思ったんです。調べてみたら、週に1回で月3万円くらいでおさまる。なかなか自分では手が回らないお風呂や水回りの掃除、アイロンがけなどを頼めば日々、もっとラクになる、と」
一応、夫にも相談しましたが、夫は「他人を家に入れるなんて」と聞く耳をもちません。ですがユカリさんは決行します。
「週に1度、平日にお願いしているのでずっとバレませんでした。さすがプロですよね。掃除に時間をとられなくなった分、余裕が生まれました。ところが去年、夫が高熱を発して早退してきたときに家事代行の人とばったり家で遭遇してしまったんです。それから揉めました」
ユカリさんの家では、互いに生活費を出し合い、家計も透明化しています。ただ、家事代行の分はユカリさんが自腹を切っていました。
夫は「家事」という誰にでもできることにお金を払うのはユカリさんの怠慢だと言い、それが彼女の怒りに火をつけたのです。
「だったらあなたが仕事をしながら家事をやってくれ、と。全然協力体制が整わないから、やむなくプロに頼んだのだから。それに家事は誰にでもできることじゃない、週に1回でも、プロに頼んだら素人の私が日常的にとてもラクになった。ブチ切れながら訴えましたよ。夫は黙り込みました」