投資額が膨らんでいく

彼はまず 3月末に81万9千円を振り込みました。当初、利益を含めての受け取り予定額は116万円になるとのことでした。数日後には153万円を払い、さらに10日後には、432万円と、相手の求めに応じてお金を出していきます。5月初めには857万円を振り込み、トータルで3,270万円ほどになりました。しかし入金は遅れがちで、催促してようやく5月初めにかけ約811万円が入ってきた程度です。

しかし、さらに彼らからはお金が必要だといわれて、5月15日に1,500万円を振り込むと、翌日にO氏は約771万円を男性に支払っています。冷静になって考えてみれば、まさに、手元に入ってきた金を投資金の返却に戻すという、詐欺にありがちな自転車操業的な金の回し方をしています。しかし、当時、本当に中古車の輸出事業だと思いこんでいる男性には、その嘘を見抜くことは難しいことでした。こうして男性の投資金額はどんどん膨らんでいき、被害金額が5,000万円にもなっていったのです。

この息子は支払いが滞る理由について、様々な嘘をつきました。お金が振り込めない理由に「金を貸していた人間が逃げた」というものもあり、その後「担保として、フェラーリを押さえて、それが売れましたので、入金できます」と言われたそうです。その際「中嶋さんが少しでも高く弁済するため、頑張ってくれた。買った人は大宮に住んでいる橋爪という人です」と言っていましたが、結局、入金はありませんでした。

男性が調べたところグループ長といってた「中嶋」や「橋爪」という人物は確認できなかったのです。騙すために存在しない人物をでっちあげたと考えてよいでしょう。詐欺では、話にリアリティを持たせるために、具体的な人名を出すことがあり、このO氏はかなり詐欺の手法に長けた人物とみてよいでしょう。

民事裁判では2018年3月、地方裁判所にて5千万円を超える損害賠償金の支払いを命じた勝訴判決を勝ち取り、O氏側は控訴しませんでしたので、判決が確定しました。しかしながら、弁済は一切なされていません。

さて刑事事件の方はというと、2015年に詐欺が発覚してから警察に相談し、男性は諦めず様々な証拠を出し続け、時間はかかりましたが被害届を受理してもらえました。そしてようやく、今年6月にO氏は詐欺容疑で逮捕されました。実に、5年もの歳月がかかっています。