はじめに

大学の入学金は「夏まで」に準備を

お子さんが大学進学を望んでいる場合、大学の入学金や受験費用は高校3年生の間に必要となります。

私立大学の入学金としては、約20~30万円が必要です(参考:文部科学省平成26年度 「私立大学入学者に係る初年度学生納付金」)。

また、私立大学の受験費用は1回2~5万円とするところが多く、遠方の大学を複数受験するとなると、交通費・宿泊費もかかります。

この入学金と受験費用、受験が本格化する高校3年生の冬までに用意すれば大丈夫だろう、と思っていませんか?

実は多様化する入試スタイルの影響を受け、最近は高校3年生の冬に用意するのでは間に合わないケースもあります。

例えば、AO(アドミッション・オフィス)入試では、エントリーの期間が高校3年生の5~7月、試験実施が8~10月のところが多いです。合格決定後はすぐに入学金が必要となります。

進路や受験のタイミングにもよりますが、高校3年生の夏を目安に入学金も用意しておくと安心です。

奨学金をあてにするのは危険

日本学生支援機構の奨学金制度は、日々の生活費で精一杯になりがちなひとり親家庭にとって、とてもありがたい制度です。

しかし、「大学進学のお金は、奨学金を借りるから大丈夫」と言い切れないのが、スケジュールの問題です。

先ほどご紹介した通り、奨学金の申込みは、高校3年生の春に実施されます。

ですが、きちんと申込みをすませ、無事に審査を通過しても、実際にそのお金が入金されるのは、大学に入学した後になります。

高校3年生の夏から秋に実施されるAO入試だけでなく、推薦入試や私立・国公立大学の入学金や受験費用についても、日本学生支援機構の奨学金では間に合わないので注意しましょう。

では、入学金や受験費用はどのように工面すればよいのでしょうか?

入学金・受験費用を準備する方法

お子さんが大学進学を希望する場合は、塾に通うための費用もかかってくるご家庭も多いでしょう。

加えて、入学金や受験費用を確保することは、ひとり親家庭にとって大きな課題です。お金の準備が間に合わないと、子供の進学を諦めることだけは避けたいですよね。

その対策法をお子さんの年齢別にご紹介します。

子供が中学生以下の場合

児童手当を貯めておきましょう。児童手当の所得制限内の収入であれば、3歳から毎月1万円の給付額ですが、3歳から中学卒業まで貯めると12年間で144万円が貯まります。

子供が高校1・2年生の場合

学資保険に加入している場合は、満期が何年の何月なのかを具体的に確認しておきましょう。満期のタイミングが大学の入学金に間に合わない場合は、加入している保険で「契約者貸付制度」(お金を保険会社から一時的に借りることができる制度)を利用できるか確認しておきましょう。

子供が高校3年生の場合

現金で足りない場合は、同じく加入している保険で「契約者貸付制度」の確認をしましょう。現金も保険もない場合は、「母子・父子・寡婦福祉資金」や「教育ローン」で借りることも検討しましょう。この場合は審査や手続きなどがあるので、早めに行動することが必要です。

このように子供が小さいうちからコツコツ貯めることが、一番ラクに入学金や受験費用を準備できる方法です。すでに進学時期が迫っていて、今からコツコツ貯めるのが難しい場合は、一時的に借りることも視野に入れるとよいでしょう。

今回は日本学生支援機構の貸与型奨学金を中心にご紹介しましたが、近年、返さなくてもいい給付型の奨学金も徐々に増えてきています。

しかし、貸与型であれ給付型であれ、基本的に奨学金は自ら申請しないと受給対象にはなりません。また、手続きには時間や手間がかかります。

早めに情報をキャッチして、安心して子供が進学できるよう応援したいですね。

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