はじめに

挨拶やスキンシップにも大きな変化

スキンシップも変化しました。頬にキスをするフランスらしい挨拶や、力強い握手は、以前のように誰に対しても行われるものではなくなっています。

外出制限解除の直後、前出のラジオ局フランスアンテールは解禁されたばかりの朝市の現場をリポート。2ヵ月ぶりにようやく再会した常連たちと以前のように握手ができないことや、試食のサービスができなくなったことを残念がるチーズ屋やソーセージ屋の声を伝えました。「何代もかけて作り上げた私たちの習慣だった」と、威勢よく語る声には、スキンシップも試食も文化なのだと納得させる力がありました。

とはいえ、別のラジオ局フランスアンフォが5月末に行った報道によると、キスの挨拶がなくなったことを、特に仕事の場面で歓迎する声も。

また、このいかにもフランスらしい挨拶は、実は1968年の学生運動の時代に男性の間で取り入れられる以前は、女性たちの間だけで行われていた習慣だったそうです。当然ながら、挨拶の習慣も時代と共に変化してきたということです。

現在は、肘を寄せ合う挨拶が見られるほか、「日本人の習慣を取り入れて、会釈をしている」という男性の声も放送されました。

コロナ禍で個人商店は売り上げ増

外出制限の影響で中小企業の半数が倒産するであろうと言われる中、前年比30%増をマークしている業種も、ある意味ニューノーマルといえるかも知れません。その業種はなんと八百屋や肉屋といった、食品の個人商店です。

筆者の住む庶民的なエリアのワイン店店主も、「外出制限中は、少なく見積もっても通常の15%以上を売り上げた」と、体験を話してくれました。

売り上げ増の理由は単純で、それまで大型スーパーで買い物をしていた人が、外出制限中に許されていた唯一の自由(つまり食品の買い出し)を味わうために近所の商店に足を運んだこと。「コロナ禍以来、個人商店ならではの魅力を知って、常連になってくれた人がほとんどだ」と、前出の店主の言葉です。

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マスクを付けて接客するワイン店の店主

自転車の売り上げも好調です。スポーツ用品専門店「アンテールスポール」が5月11日の外出制限解除以降、毎日4,000台の自転車を販売していることを、ルモンド紙が報じています。自転連盟Union Sport & Cycleによると、5月後半の3週間の自転車(関連商品含む)の売り上げは、前年比14%増。この自転車人気の背景には、公共の交通機関を避けて感染を避ける目的や、環境保護、健康管理などがあります。

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バス停に設置されたアルコール消毒スタンド

ちなみに、インディペンデント調査機関OFCEは、2020年末までに約9万5,000の企業の倒産を予測しています。この厳しい現実を考慮すれば、より一層、食品の個人商店と自転車の支持率を「ニューノーマル」と認識したくなります。

他にも、レジ前にプレキシガラス(アクリル樹脂のガラス)を設置したり、マルシェ(朝市)のスタンドをラップでカバーしたりするプロテクションの工夫や、商業施設の入り口やバス停にアルコールジェルがあり無料で使えることなども、生活の中で気づくニューノーマルです。

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ラップでプロテクションを施したマルシェ

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