日本フードサービス協会が発表している協会会員社を対象とした外食店舗の売上高(約3.8万店)は、2月が前年同月比4.8%増と堅調でしたが、3月は同17.3%減、4月は同39.6%減と歴史的な減少率を記録しました。

5月は同32.2%減(6月24日発表時点)と4月に比べるとマイナス幅は縮小しましたが、3月の時点よりもマイナス幅は大きくなっています。

6月12日から、東京都内で営業時間が午前0時までに拡大されることで、外食企業の売上高は一時に比べて回復が期待されます。

しかし、ソーシャルディスタンスに配慮して、座席稼働を6~8割に抑える外食店が多く、また、新型コロナウイルス感染拡大がゼロになったわけではありません。いちよし経済研究所では、外食店舗のイートイン(店内飲食)の売上高が本格回復するには時間がかかるとみています。


マクドナルドのデリバリー売上高100億超と試算

4月と5月の外食各社の既存店売上高をみると、テイクアウト、デリバリーに力を入れてきた会社の既存店売上高は底堅い展開となっています。特に洋風ファーストフードはもともと従来から「ドライブスルー」「テイクアウト」に強く、近年は「デリバリー」も強化してきました。

このため、4月の客単価は同31.3%増、5月は同43.3%増となりました(日本フードサービス協会調査)。つまり、一人の顧客が複数人数分の商品を購入したケースが多かったためです。

4〜5月は、在宅ワークの増加、外出自粛要請などを背景にデリバリーやテイクアウトへのニーズが高まりました。すかいらーくHD(証券コード:3197)が早くからデリバリーを導入しており、2019年12月期でデリバリー売上高は231億円と全売上高の6%を占めます。

数字は開示していませんが、日本マクドナルドHD(2702)のデリバリー売上高も100億円超あるといちよし研究所では試算しています。また、「銀のさら」など寿司のデリバリーを行っているライドオンエクスプレスHD(6082)は、自社ブランドの「銀のさら」「釜寅」などのほか、ほかのレストランの食事を代行で届ける「ファインダイン」事業への出店増加ペースが高まりました。

テイクアウトもIT化で好調

テイクアウトもIT化が進んでいます。くら寿司(2695)や王将フードサービス(9936)、日本マクドナルドHDはスマートフォンアプリを活用。消費者は注文から決済までをスマートフォンで行い、店に指定した時間に商品を受け取りに行くという仕組みです。待ち時間がほとんどなく、現金のやり取りがないなどが新しい、もちろん企業側にはデータが蓄積されます。

この3社の5月のテイクアウト売上は、前年同月比2倍以上と好調に推移しました。各社の4~5月の既存店客単価をみると、先ほどの3社に加えてアークランドサービスHD(3085)、スシローグローバルHD(3563)、カッパ・クリエイト(7421)、元気寿司(9828)などは前年同月比10%増以上で推移しており、ファミリー需要を取り込んだとみられます。

消費者は、(1)家で食事をする(2)外食店で食事をする(3)コンビニや持ち帰り弁当チェーンで買った商品を家で食べることに加えて、(4)ネットで注文して食事を運んでもらう(5)ネットで注文して自分が食事をとりに行く、という選択肢が増えたといえます。

デリバリーそのものは、昔からありましたが、ネット注文、ネット決済、食材の受け取りがソーシャルディスタンスとなったのが、大きく異なり、利便性が高まったと言えます。

<文:企業調査部 鮫島誠一郎>