はじめに

生活防衛資金の目安

家計が黒字化できたら、次は貯金を作ります。投資を始めるにはいくら貯金を持てばよいでしょうか。サラリーマンであれば最低限月の生活費の7.5か月分、自営業であれば最低限1年分です。いわば緊急資金のため、それ以上あっても構いません(ありすぎはどうかと思いますが)。

7.5か月分のうち、1.5か月分が「使う貯金」です。生活費で使って減り、給料日に増えるものです。0.5か月分余分に設定するのは、イレギュラー支出に対応するためのバッファです。

残り6か月分以上は「貯める貯金」となります。いわゆる生活防衛資金の意味があり、簡単に使うことはありません。今年のコロナ騒動などにより現金が必要だと感じた人も多かったので、6か月とは言わず、1年分でも、2年分でも構いませんが、多すぎるとなかなか次に進めないので、ほどほどに。5年以内に必要になる教育費や住宅の頭金、マイカー資金などがあるなら、それはこの生活防衛資金とは別に貯める必要があります。

この「貯める貯金」ができたら、それ以外のしばらく使わないお金で投資を始めて良い段階に入ります。ただ、この段階にたどり着くまでにかなりの時間がかかるという人もいます。その場合は、貯金を中心にしながら一部を投資に回す「貯金と投資の並走」をさせることも1つの手段です。時間を味方につけた投資ができるメリットがあります。

投資は「長期」「分散」「積立」で

前述しましたが、投資は「長期」「分散」「積立」を基本としましょう。初心者で、しかも老後資金が目的の投資であれば、インデックスファンドを積み立てる投資をお勧めします。日本で言えば日経平均とかTOPIXなどの指標に連動することを目指している商品なのでわかりやすいですし、リスク(不確実性)も少ないからです。複利を期待してコツコツ積み立てる投資からはじめ、違うものもやってみたいのであれば、投資を知ってから一部で個別株やアクティブファンドに挑戦してみるとよいですね。

相談者さんは今回のような投資をして、耐えきれずにマイナスになってしまったのですから、投資法が合っていなかったのだと言えます。「これはランキングに入っていた商品だ、誰かがよいものだと言っていた」と飛びつくのは、よくありません。その前に、それはどういう商品なのか? 自分の投資スタイルに合うのだろうか? など、投資で資産形成をする際には十分に検討したいものです。慌てず、少しずつでも調べ、学んでみてください。

訳も分からず投資を始めるよりも、家計状況を整え、勉強しながらゆっくり取り組める投資の仕方をすると、失敗はかなり少ないでしょう。相談者さんはまず、生活防衛資金作りからです。

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