はじめに

米国株式市場は、6月から高値圏での推移が続いています。

7月15日にはCOVID19のワクチン開発への期待から、S&P500は6月初旬の高値とほぼ同水準まで上昇しました。一方、6月後半から連日報道されていますが、米国内ではフロリダ、アリゾナなど南西部でCOVID19の感染者が大きく増えて、6月半ばから経済活動が再び停滞しています。

ただ、停滞は一時的でいずれ感染症が克服され、金融財政政策の後押しで経済活動が順調に回復するとの見方が、株式市場では根強いようです。


株高の根拠は過剰流動性

最近の米国株式市場での株高は、経済状況への楽観的な見方よりも、大規模な金融財政政策で生み出された潤沢な流動性が株式などリスク資産に流入するマネーフローの構図がかなり強固である、との認識が最も大きく影響しているように思われます。

特に、コロナ禍の後米国では多くの個人投資家が株式市場へ新たに参入しましたが、ハイテク企業などの株式に対する上値追いの投資行動が強まったと見られます。

さらに詳しくみてみると、この株高は、一部ハイテク銘柄などに偏っている特徴があります。コロナ後の世界で優位になるストーリーがあり、高い成長期待を持つ「グロース株」と区分けされる銘柄の株高が目立っており、主要なインデックスではナスダック指数だけが6月以降も最高値更新が続いています。

偏った株高はバブルではないのか?

成長余地が見込める企業に対して、リスクマネーを行き渡らせる株式市場の機能が、米国では大いに働いていると言えます。ただ、一部銘柄に偏った株高は、バブル的な様相が強まっている可能性を示しています。

いわゆるFANGM銘柄に加えて、6月まで1000ドル前後だった電気自動車大手テスラ株が7月に1500ドル台まで急騰したことが、大きな話題になっています。

2000年頃、米国を中心にいわゆるIT関連企業であれば多くの銘柄の株が上昇したITバブルが発生しました。現在とITバブル時では異なる点も多いので、単純には比較できませんが、現在の米国株市場はそれに似てきているようにみえます。

ただ、投資初心者が株を買うのは、長期的なリターンへの期待よりも株高が続くという期待による部分もあるでしょう。もしそれだけで株高が続けば、それはバブルと位置付けられます。株式市場全体の流れを変えるほどの大きなバブルではないとしても、現状は「コロナ後バブル」が醸成されつつあるかもしれません。

もちろん、株式市場では企業の成長期待が正しく織り込まれ、将来の企業の高成長や米国経済の復活を今の株高が予見している可能性もあります。

結局、株高が起きている企業の利益が大きく伸びる前提となる、経済復調が実現するかどうかです。しかし、株高を支えている金融財政政策によって、経済活動全体の着実な復調が実現するのでしょうか。

<写真:ロイター/アフロ>