はじめに

時間を効率的に使うために発信し、応えてもらえる環境づくり

では、どうやって効率的に時間を使うか、それが大きな問題です。私事ですが、コロナ禍にいわゆるコロナ婚をして、生活に大きな変化が生じました。37年間の人生、特に18歳で大学進学の状況から19年間(約半生!?)は一人暮らしで本当に自分だけのための時間を謳歌していました。他人との生活が始まり、互いのために工夫しなければいけないことの多さに戸惑いの日々です。

コロナ禍で在宅ワークが適用されていなかったら、今頃どうなっていたか想像もできません。パートナーの勤務時間(昼から夜)と私の今までの勤務時間(朝から夕方)とが大きくずれているために、なんらかの工夫が必要でした。

狭い家では2パターンの生活リズムが共存できません。私の職場環境の方が時間固定ではない環境だったため、まずは上長に相談しました。相談内容はフレックスの活用度合いについてです。上長はまず私の置かれている状況と、変化によるストレスに耳を傾けてくれました。そのうえで、何時からスタートするのであれば、負荷がかからないかの改善案を共に考えてくれました。

その際、お客様に迷惑をかけたり、仕事に支障が出ないようにするためにはどうしたらいいか、上司の働き方の希望も伝えてくれました。上司は朝型。私は夜型。お互いの生活リズムと体調にはその分担がぴったり。

そこでお互いが仕事中として共有できる時間である午後イチがネット会議の時間を設定しようと調整もできました。会社としては朝から夜までどちらかが対応はできますし、互いの共有もそれぞれの仕事後半、もしくは前半に持つことができます。

この話し合いの時に改めて感じたのは発信することの大切さと、応えてくれる上長側のリーダーシップの影響力の大きさです。もちろん困っている側が発信することは言うまでもなく必要です。人が何に困っているかは言わなければ伝わりません。その後の上長が発揮してくれたリーダーシップはまさに上長とともに昨年末オーストリアで学んできた今のドイツを支えるリーダーシップそのものでした。

これからのリーダーシップのあり方

今ドイツで必要とされるリーダーシップは旧来型の権威をふりかざすリーダーシップではありません。社員同士の人間関係を築き上げ、情報を皆で共有し、互いに権限を与え、自律的に問題を解決し、課題を達成できる組織づくりを行うリーダーシップです。

私の変化に寄り添い、フレックス制度をうまく活用できることと上司自身の生活リズムを開示して共有してくれ、私が働いている時間に私が自分の管理下で仕事がこなせるように任せてくれました。

そのような環境だからこそ、私自身はその働く中で問題が生じた時には解決を目指したり、その案を報告・相談することができますし、より高みを目指せる部分も自分なりに工夫したい気持ちがわいてきます。

信頼され、期待されると人はその信頼・期待に応えたくなる。そんな当たり前の心の動きを自分自身が実感しています。私の結婚生活のクオリティをも尊重してくれる上司のリーダーシップを見て、私自身も周囲にその姿勢と態度を示したいとより一層感じられるようになりました。

人として互いの背景まで尊重し合える組織づくり、それがニューノーマル時代に必要な基盤となると身をもって感じています。上記のリーダーシップのポイントは上長だけが持つべきものではないと思います。部下が先にその要素をもって接することが周囲に良い影響を及ぼすことが必ずあると思います。

コロナ禍の変化は人によってさまざまな影響を及ぼしているはずです。前回のコラムでも書きましたが、自分の変化だけではなく、周囲の困りごとに耳を傾け互いに協力し合える組織づくりができるときっと理想の環境に近づいていくはずです。

自組織の制度をうまく活用しながら仲間とともに成果を出すことも、今から新しく働く場を見つける方々は新しい組織で、または最近では在宅でできる派遣のお仕事、おうち派遣という制度なども私の所属する組織でも事業として開始しています。

様々な働き方が可能になってきた社会でどう自分が自由に羽ばたいていくか、考えるチャンスが今訪れているのかもしれません。

※1 公益財団法人 日本生産性本部「生産性レポート Vol.13「産業別労働生産性水準の国際比較 ~米国及び欧州各国との比較~」
※2 公益財団法人 日本生産性本部「第1回 働く人の意識調査~新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を調査~」

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