はじめに

再開後も苦境にある映画館経営

映画館の業務は増えたにもかかわらず、経営は苦しい状況が続いています。ベルリンで15の映画館を経営するクリスティアン・ブロイアー氏は、ベルリン・ブランデンブルク放送局のインタビューにおいて、正常な運営はまだ不可能だとの見方を示し、多くの映画館の経営がギリギリ、あるいは破滅的な状態にあると述べました。

映画館のこうした窮状の背景には、ソーシャルディスタンスを維持するための来場人数制限のほかに、3ヵ月以上にわたる休館とそれに伴う収益の激減があります。

このような状況において、映画館は存続をかけて努力をしています。連邦政府や州機関による公的な支援への申請もそのひとつです。とはいえ、映画製作会社や配給会社、映画館など映画産業全体に対して支給されるのが1,500万ユーロ(約18億720万円)で、映画館に割り当てられるのはそのうちの200万ユーロ(約2億4,100万円)です。

1館あたりにすると、受取額は9,000ユーロ(約108万円)~1万5,000ユーロ(180万円)となり、3ヵ月分の休業を補償するには十分ではありません。

そのため、独自に映画の前売り券やグッズを販売し、それによって利益を少しでも確保するという方法をとる映画館もあります。

ロックダウンに対して素早く立ち上げられた非営利組織も、映画館の存続に一役買っています。例えば「ヘルフェン ドット ベルリン(Helfen.Berlin)」という団体はITや広報のプロが運営しており、同団体が無償で提供するプラットフォームでは、支援したい施設のギフト券を購入することができます。

こうした施設の中には映画館も含まれており、担当者によると、支援を受けた施設からは感謝の声が届いているとのことです。

歴史的映画館の破産申請も

残念ながら、続くコロナ禍に耐えきれず閉館を決めた映画館もあります。独紙デア・ターゲスシュピーゲルは5月30日に、100年以上の歴史を誇るベルリンの映画館、コロッセウムが破産を申し立てたと報じました。

キノ・インターナツィオナール市内映画館コロッセウム

代理人のゼバスティアン・ラボガ氏はデア・ターゲスシュピーゲルなどのメディアに、コロッセウムが利益をあげるには平均して70%以上のチケットが売れる必要があったと話しました。そして、営業再開にあたっても売り上げが見込めなくなったことにより、破産の道を選んだと述べました。

現在、コロッセウムの閉館には反対の声が上がっており、映画館を守ろうとする団体との間で交渉が行われています。コロッセウムの建つパンコウ地区の区長も映画館の保存に前向きな姿勢を見せており、地元紙ベルリーナー・ツァイトゥングに、文化施設の一部として映画館を残すように経営者に掛け合うつもりだと話しました。

金銭的な成功だけでは測りきれない芸術をどこまで守れるのか。ベルリンの文化的多様性を支えるための動きはこれからも注視する必要がありそうです。