はじめに
すべての前提がひっくり返った
コロナ禍によって観光業が壊滅的な状態になったことで、今までは売上が400万円で、賃料100万円、人件費100万円の経費だったのが、売上が10万円に減っても同じ額を払わないといけなくなりました。毎月固定費分がそのまま赤字になる悲惨な状態です。
経営しているMANGA ART HOTEL。今はほとんど売り上げはない
さらに、条件によりますが、宿泊業は原則、延べ床面積が1000平米を越えなければ感染防止協力金の給付金の対象になりませんでした。また、200室以下のホテルは東京都の借り上げの措置なども受けられませんでした。
稼働させるだけで赤字がかさむので、各地でホテル自体を閉める動きが進みました。
夢のようなコロナ融資
しかし、コロナ関連の融資は別です。これは、金利が非常に安く(もしくは0)、返済期限も10年と長く設定されており、経営者にとっては夢のような融資です。
融資は、昨年や直近の「月商」に基づいて金額が決まります。月商の3〜5ヶ月の融資を受けている企業も多くありますので、ホテルのように売上規模が立ちやすい業種では、規模が小さくても億を超える融資を受けている場合もあります。
つまり、宿泊事業者は融資のおかげでキャッシュフローは潤沢だけど、損益計算書上では常に赤字という不思議な状況に陥っています。現在、会社の代表者が連帯保証に入り、借金をして得たキャッシュは毎月減っていくのですが、融資のおかげで、生きるだけなら半年〜1年は生きられるという企業が多く存在しています。
次回は、このような状況の中で、ホテル業界にどんな動きが起きているのかを書きたいと思います。