はじめに
自転車のジャイアントも堅調
ハイテク企業が大半を占めている台湾株式市場のなかで、ハイテク企業のほかにも堅調な値動きとなっている企業があります。自転車の世界大手企業であるジャイアント(巨大機械)です。
世界的にコロナ問題が長期化しているなかで、リスク回避のために自転車通勤を選ぶ人が増えており、自転車に対する需要を押し上げています。コロナ問題が生んだ意外な副産物です。
コロナ封じ込めに成功した台湾
また、経済の方でも台湾に対する評価が高まりつつあります。7月30日に発表された台湾の2020年4-6月期実質GDP成長率は、年同期比マイナス0.73%でした。17四半期ぶりのマイナス成長とはいえ、米国、欧州など、直近相次いで発表された他国の状況と比べれば、落ち込みはかなり軽微にとどまっています。
このGDPの落ち込みの小ささは、コロナ対応をそのまま反映しているといえます。実際、台湾のコロナ感染者数は467人にとどまっており、4月13日以降は、新たな感染者は確認されていません。
他の国がコロナ問題に苦しめられている中で、台湾は早期封じ込めに成功している代表国のひとつといえるでしょう。この度の迅速で適切なコロナ対応をみて、国民から政府に対する信頼度が増しています。加えて、海外の国々からから台湾を見直す動きが強まってきました。
台湾経済において、GDPの約半分を占めているのは民間消費ですが、足元の消費についても最悪期を脱しつつあります。消費刺激策として7月15日からクーポン券「三倍券」の利用が開始されました。飲食業の活性化、GDPの押し上げ効果が期待できそうです。今後の台湾経済の行方が注目されます。
<文:市場情報部 副部長 明松真一郎>