はじめに

ステップ2:情報整理は優先順位でジャッジする

2つ目のステップは「情報整理」です。

情報収集を終えたとき、その情報はあなたの脳に収納されます。この収納時に、「要約力」の高い人と低い人の差がはっきりします。

「要約力」の低い人の脳は、外から部屋に持ち帰った不要なものを捨てずにいる人と同じです。整理整頓という概念がなく、床や机や棚はどんどんモノであふれてしまい、汚部屋と化します。この汚部屋からモノを探そうとなると、時間とエネルギーをとられてしまいます。「探したけど見つからなかった……」というケースも少なくありません。

一方、「要約力」の高い人の脳は、整然と片づけられた部屋と同じです。部屋に持ち帰ったもの(情報)を、無造作に床や机に放り投げるようなことはしません。要不要を手際よく判断したうえで、不要なものはゴミ箱に捨て、必要なものはグループ分けして収納します。

同時に、優先順位もつけておきます。アウトプットする確率が高いものは手前に置き、低いものは奥に置くイメージです。こうしておくことで、必要に応じて効率よく情報を取り出すことができます。

この「情報整理」のステップで求められるのが以下の3つです。

・情報の要不要を見極める
・情報をグループ分けする
・情報に優先順位をつける

情報の要不要を見極めたうえで、情報をグループ分けし、なおかつ情報に優先順位をつける。これがふたつ目のステップ「情報整理」で行なうことです。

ステップ3:情報伝達は「伝えないこと」から決める!

3つ目のステップは「情報伝達」です。

これまでストック(貯蔵)してきた情報をフロー(流れ)へと変換する。これこそが「要約力」のクライマックスです。

どんなにすばらしい情報も、溜めておくだけでは無価値です。「話す」や「書く」という形で、他者や社会へと流し、誰かの役に立ったときに、はじめて価値が生まれるのです。

なお、「情報伝達」のステップで最も大事なことは、伝える情報の絞り込みです。

理想は、手元にある情報の9割を捨てること。アウトプットするときは、「何を伝えるか」を決めるだけでなく、「何を伝えないか」を決めることも大切です。情報伝達がヘタな人ほど「何でもかんでも話をする」「順番を考えずに話をする」という症状に陥りがちで、その結果、相手に負担をかけてしまいます。

「エレベーターピッチ」をご存知の人もいるでしょう。エレベーターに乗っているくらいの「ごく短い時間」で、相手に説明・プレゼンすることです。限られた時間ですので、1秒もムダにはできません。このときに、「9割捨てる伝え方」ができる人は、最善の結果を出すことができます。

仕事をしていれば、報告、会議、打ち合わせなど、わずか数十秒~数分で「情報伝達」をしなければいけない機会はよくあります。持ち時間の大小にかかわらず、そのつど「9割捨てる伝え方」ができる人が「要約力が高い人」です。


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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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