はじめに
総務省が発表した労働力調査によると、2020年6月の完全失業者数は195万人(前年同月比33万人増)。休業者数は236万人(前年同月比90万人増)で、合わせると431万人におよびます。
一方、新型コロナウイルス感染拡大防止のために発令された緊急事態宣言を機に在宅勤務や時差出勤などの措置が取られました。それに対し、エッセンシャルワーカーなど、普段と変わらず出勤を続けた人たちもいます。
これらの変化は働く人々の意識に少なからず影響を与え、コロナ禍をきっかけに働き方を見直したり、変えたいと考える人が増えたように思います。しかし、働き方を変えることは容易ではありません。
あなたに都合のいい条件の求人は決して世の中に多くはなく、仮に運よく見つかったとしても、条件の良い仕事は得てして倍率が高いものです。
では、今の働き方を変えたいと思った時、どうすればいいのでしょうか?できることの一つは、あなた自身の強みを把握しておくことです。仕事条件の交渉や転職などを通して希望をかなえたい時に、強みは成功確率を高める武器となります。
強みには種類がある
人材を評価する際、真っ先に重視されるのは仕事上の実績です。どんな職務を経験して、どんな成果を出してきたか。売上や利益を伸ばした、といった数字はもちろんのこと、全社MVPに選ばれたとか、プロジェクトでリーダーを務めたなどの実績は、そのまま人材としての評価に直結します。
そして、転職する際や条件を交渉する際に、それらの実績は武器となります。実績が高い人ほど、人にはない強みを持っているということです。
しかし、中には実績以外の強みが評価される人もいます。それがスキルです。プログラミング技術や医師免許など、有能度合いが客観的に把握しやすい体系だった技能はハードスキルと呼ばれます。
もしあなたに仕事上の実績とハードスキルの両方が高い水準で備わっていれば、それだけでかなり市場価値が高い人材として評価されるはずです。
第3の強み、ソフトスキル
とはいえ、実績もハードスキルも突出したレベルで備わっていると自信を持って言える人は稀な存在です。実績やハードスキルだけで、他者にはない自分だけの強みを表現することは難しいと感じる人の方が多いかと思います。
そこで着目していただきたいのが、コミュニケーション力やリーダーシップなど、資格のように明確には示しにくい第3の強み、ソフトスキルです。一般的に、長所と言われる概念に近いものです。
ソフトスキルは、仕事経験のあらゆるシーンを通して磨かれています。たとえば、事務職として毎朝上司にお茶出しをするという業務を経験してきた場合、特別なハードスキルは必要ないかもしれませんが、一所懸命に打ち込めば、業務を通して心遣いなどのおもてなし精神が磨かれていきます。
上司の好みのお茶の種類を把握して切らさないように配慮したり、オフィスの室温や湿度などを把握して、お茶の濃さや熱さ、分量をこまめに変えてみたり、お子さんの誕生日には一言メッセージを添えてみたり。お茶出しで上司を感動させるような"スキル"を身に着けていたとしたら、それは立派なあなたの強みと言えるはずです。