はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増える中、気になるのは家計への影響です。”ウィズコロナ”の生活が当面続くことを考えると、家計も新しいライフスタイルに対応するための見直しが必要になりそうです。

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが2020年3月15日から30日間、同社の電気利用サービス利用者を対象に実施した調査によると、約6割の世帯が前年同期比で電気使用量が増加、電気代に換算すると平均1,700円増加していることがわかります。

そこで、ファイナンシャル・プランナーである筆者が提案するのは、電気自動車(EV)を活用した家計節約術です。電気自動車が家計にどのような影響を及ぼすか、解説していきましょう。


電気自動車を蓄電池として活用する

環境省が行なった「家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査 全国試験調査(平成26年10月~平成27年9月)」によると、1世帯(戸建て)が1年で支払う電気料金は、約14万円。年間の電力消費量は5,617kwhです。新型コロナウイルス感染拡大による在宅時間増加で増えた電気代を1か月1,700円とすると、年間の電気代は2万400円アップの約16万円に達します。

電気代を軽減するには事業者を変えたり、こまめな節電を心がけたり、家電を省エネタイプに買い替えるといった方法が一般的ですが、家庭によっては大きな軽減効果が見込めるのが、電気自動車を使う方法です。

電気自動車はモーターを搭載した車で、Electric Vehicle(電気自動車)を略してEVとも呼ばれます。ガソリン車は燃料のガソリンをエンジンで燃焼させて走りますが、電気自動車は車体に蓄えた電力でモーターを動かして走ります。言わば、走る蓄電池です。

この蓄電池としての機能を活用し、家庭の電気料金を節約する方法があります。自宅の電力会社プランを夜間に料金が安くなるタイプに変更し、格安の深夜帯に電気自動車に蓄電します。すると、日中は安く蓄電した電力を家庭に回すことができ、トータルの電気料金を下げることが可能になるのです。

一般的な蓄電池の容量は3~12kwh程度ですが、日産の電気自動車リーフは40~62kwhの大容量。蓄電池は1kwhあたり20万円前後が相場なので、リーフと同じ容量を蓄電池で用意すると800万円もかかる計算です。リーフはガソリン車に比べると高価ではありますが、340万円から購入できます。これなら、車ごと買い替えた方がおトクです。

また、大容量の蓄電池は、災害時にとても頼りになる存在です。東日本大震災時では、停電した家庭の約8割が復旧するのに3日を要しています。リーフの蓄電池の容量があれば3~4日程度の電力は賄えるので、毎年のように大きな災害が起こっている今、こうした備えがあると安心です。

自動車としても、かかるコストを節約可能

もちろん、電気自動車はクルマとしてのコストも削減することができます。燃料代などの平均的なランニングコストはガソリン車より安くなります。

たとえば、月に800km走行する場合、電気自動車の場合は電費を6km/kwhとすると充電費用は3,613円。一方、ガソリン車は燃費15km/Lとするとガソリン代が7,200円となり、電気自動車のほうが3,587円おトクになる計算です。年間だと4万3,044円の節約になります。

燃料の比較については、走行距離やガソリン代、燃費などによって異なりますので、日産が提供する充電費用シミュレーターを使うと便利です。

充電費用シミュレーター画像充電費用シミュレーターでは、外出先での充電をサポートする日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3(ZESP3)利用込みで充電にかかる費用を試算できます。

また、毎年支払わなければならない自動車税も、電気自動車がおトクです。ガソリン車の場合、税額はエンジンの排気量で決まり、総排気量が1.5リットルの普通車の場合3万6,000円(2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた場合。以下同)です。一方、電気自動車は1リットルの車と同じ2万5,000円で、登録の翌年度は6,500円に軽減されます。自治体によっては独自の優遇策を実施しているところもあり、東京都では登録の翌年度から5年間は全額免除となるので、合計すると10万6,500円の自動車税が免除されることになります。
 
自動車保険については大きな差はありませんが、保険会社によっては初年度登録から3年程度の期間は年間1,000円程度のエコカー割引の対象になる場合があります。
 
ガソリン車には欠かせないエンジンオイルやオイルエレメントの交換なども、電気自動車では不要です。また、車検も概ねガソリン車よりも安くなることが多く、整備の程度によりますが、初回の車検は7万円以下となることが多いようです。