はじめに

3月決算企業の第1四半期決算が概ね終了しました。予想されたとおり、全体としては非常に厳しい決算となりました。4~6月は日本が緊急事態宣言を発令し、外出自粛が求められていた時期ですから厳しい決算なのはやむを得ないと言えそうですが、厳しい状況に置かれても力強い成長を遂げている企業は存在します。今回は日本企業の決算全体の動向や特に業績が好調な銘柄の特徴などをお伝えします。


厳しいなかにも日本企業の底力が光る

3月末決算を採用しており前年同期と比較可能な2,259社について、筆者が業績の集計を行いました。全体としては17.4%の減収、50.9%の経常減益と非常に厳しい結果となりました。

ただしこうした厳しい状況下でもしっかりと成長している企業は存在します。2,259銘柄のうち前年同期と比べて増収増益を達成したのは496銘柄(約22%)ありました。この状況下で増収増益を達成できたのが2割以上あるわけですから、日本企業の底力も捨てたものではありません。

それではどういった企業が好調だったのでしょうか?約500社あるのですべてを網羅しているわけではありませんが、ざっくりとした傾向を挙げると「食品」「ネットサービス」「製薬会社」「巣ごもり消費・在宅勤務関連」「システム開発会社」などが好調です。いずれもコロナの影響が逆風になりにくい、または追い風になりそうな業種で納得感があります。いくつか銘柄の例をご紹介します。

■食品
どんな時でも食事は必要ですし、外食を避けて家で食事する需要が増えたことから一部食品会社は非常に好調でした。カップメンの「マルちゃん」ブランドで知られる東洋水産(2875)はカップメンが国内外で非常に好調で、売上は6.7%増、営業利益は78.2%増ととても良い決算でした。

東洋水産の業績

■ネットサービス
電子書籍サービス「めちゃコミック」などを展開するインフォコム(4348)の決算も目を見張るものでした。売上高は前年同期比22.9%増の155億円、営業利益は68.6%増の20億円でどちらも第1四半期としては過去最高です。外出自粛による需要増を受けてめちゃコミックが非常に好調でした。

インフォコムの業績

■巣ごもり消費
なんといっても任天堂(7974)の決算は強烈でした。Switchや「あつまれ どうぶつの森」が大ヒットし売上高は前年同期比2倍以上の3,581億円、営業利益は5倍以上の1,447億円です。もちろん任天堂の決算が好調であることは予想されていましたが、予想を上回る好内容で決算発表後も任天堂の株価は年初来高値の更新を続けています。

任天堂の業績

あくまで一部の銘柄の例ですが、コロナの影響が最も大きかった時期に好業績を達成できた企業たちですから、一定の社会的ニーズや競争力の高さが予想され、今後もある程度好業績を期待しても良いのかもしれません。ちなみに紹介した3社とも業績好調だけあって、株価は市場の平均であるTOPIXを大幅に上回って推移しています。

3銘柄とTOPIXの株価比較

反対に航空会社や鉄道会社の業績は絶不調で株価も低迷していますが、これらの企業の業績や株価が本格的に上向いてくるのはコロナの収束が見えてきて、経済活動が以前と同様の状態に戻れることが見通せるようになってからなのかもしれません。そしてそれはまだ先のことなのかなと想定しています。

全体としての企業業績は今後もしばらくは厳しい状況が続きそうですが、本日ご紹介したように社会の変化にあった製品やサービスを提供しており、厳しい状況下でも成長を続けている企業はたくさん存在しています。ぜひそういった銘柄を探し、投資成果に結びつけていただければ幸いです。

<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>
<写真:ロイター/アフロ>