はじめに
アマゾン、フェイスブックも参戦
「ライブコマース」の将来性を見込んでいるのは中国企業だけでありません。海外でも通販大手の米アマゾンは、売り手が顧客に商品を直接アピールできる「Amazon Live」を19年からスタートしています。
また、世界最大のSNSサービスを手掛ける米フェイスブックも、電子商取引プラットフォームを手掛けるカナダのショッピファイと提携して、「ライブコマース」機能を強化した「Facebook shops」、「Instagram Shops」などのサービスをスタートさせています。米国でもコンテンツマーケティング強化の流れは本格化しています。
日米でも展開、注目の中国ライブ配信関連企業とは
「声網(Agora)」は13年創業の中国系企業です。企業や開発者向けに、ソフトウェア開発キット(SDK)として自社サービスのアプリやWebサイトにライブ配信サービスなどを簡単に実装できるツール群を提供しています。
同社のコア技術である「リアルタイムロック(RTC)」技術は、SNSライブ配信、教育、ゲーム、医療、金融など10余りの業種に提供されています。中国ではSNSクロスメディア企業の8割以上、オンライン教育の7割以上が、同社の提供するリアルタイム音声・動画ソリューションを採用しています。
同社は今年6月に米ナスダック市場に上場。上場初日に株価は売り出し価格の20ドルから50.5ドルに急騰しました。ライブ配信が急速に伸びている中国だけでなく米国でも、同社サービスは企業がライブチャット機能を実装するためのツールとして活用されています。
また、日本でも、遠隔地の相手と映像でつながるシステムを提供している「ブイキューブ」が総代理店として販売・サポートを展開しています。今後の成長が期待できる分野で、グローバルに事業を展開している同社の行方は注目に値するとみています。
<文:市場情報部シニアマネージャー 佐藤一樹>