はじめに

どうせ働くなら誰でもお金は欲しいもの。収入の多さで仕事を選びたくなるのは自然なことです。ところが、この考えは、幸福度アップの点では問題があります。給料が多いか少ないかは、私たちの幸福や仕事の満足度とはほぼ関係がないからです。前回に引き続き、『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』(クロスメディア・パブリッシング)から一部抜粋して紹介します。


世帯年収300~500万円から満足度の上昇が鈍る

「年収800万円が幸福度のピーク」との説を聞いたことがある人は多いでしょう。ノーベル賞受賞者であるダニエル・カーネマンの研究で有名になった事実で、あらゆる職種の年収とメンタルの変化を調べると、およそ年収が800~900万に達した時点で幸福度の上昇は横ばいになります。

これは世界中どこでも見られる現象で、アメリカでも日本でも幸福になれる金額の上限はさほど変わりません。もっとも、この数字はあくまで「それ以上はいくら稼いでも幸福度がほぼ変わらなくなる」最大値を示したものであり、現実的にはもっと手前から幸福度は上がりにくくなります。

たとえば、令和元年に内閣府が発表した「満足度・生活の質に関する調査」では、1万人を対象に世帯年収と主観的な満足度の変化を比べました。

◉ 「100万円未満」5・01点
◉ 「100万円~300万円未満」5・20点
◉ 「300万円~500万円未満」5・68点
◉ 「500万円~700万円未満」5・91点
◉ 「700万円~1000万円未満」6・24点
◉ 「1000万円~2000万円未満」6・52点
◉ 「2000万円~3000万円未満」6・84点
◉ 「3000万円~5000万円未満」6・60点
◉ 「5000万円~1億円未満」6・50 点
◉ 「1億円以上」6・03点

世帯年収300万~500万円のあたりから満足度の上昇が鈍り始め、1億円に達しても大した数値の変化が見られていません。カーネマンの研究とは指標が違うため単純な比較はできませんが、日本においても世帯年収が300万~500万円を過ぎたあたりから、急に満足度が上がりにくくなるようです。