はじめに

2020年4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比年率▲28.1%となり、第1次速報値の同▲27.8%から下方修正となりました。現行統計(平成23年基準)で遡れる80年4~6月期以降で最大の減少率になりました。

法人企業統計のデータが弱かったため、前期比▲1.5%だった実質設備投資が、同▲4.7%へ大幅に下方修正されたことが主因です。他の主要系列では実質個人消費・前期比は▲7.9%。実質輸出の前期比▲18.5%と大きく減少しました。新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が停滞したことを示す数字と言えるでしょう。

しかし、最近発表された経済統計を詳しくみると7~9月期に経済は持ち直したことが期待されます。また、身近なデータも景気拡大局面に入ったことが示唆しています。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。


7~9月期実質GDPは最大の増加率となる見込み

鉱工業生産指数・7月分確報値・前月比は+8.7%と大幅上昇になりました。製造工業生産予測指数や、経済産業省の先行き試算値などを使って、先行きの鉱工業生産指数を予測することが出来ます。

8月分を先行き試算値最頻値前月比(▲1.7%)、9月分を製造工業予測指数前月比(+1.9%)とすると、7~9月期の前期比は+6.0%の上昇になります。また8月分・9月分を製造工業予測指数前月比(+4.0%、+1.9%)で延長すると、7~9月期の前期比は+10,1%の上昇になります。

7~9月期の鉱工業生産指数の見通しがかなりのプラスが見込めるように、実質GDPもプラス転換が予想されます。民需の主要項目をみると、個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7月分対4~6月平均比は+37.7%の増加、非耐久消費財出荷指数は同+2.5%の増加になりました。

一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7月分対4~6月平均比は+2.9%の増加です。新型コロナウイルス感染症対策での自粛などにより大幅に落ち込んだ4~6月期の反動で、7~9月期の個人消費は、前期比で大幅増加になる可能性が大きいと思われます。

また、設備投資の関連データである資本財(除、輸送機械)出荷指数の7月分対4~6月平均比は+0.1%の増加、建設財は同+0.5%の増加になりました。総合的に考えると、最終的に供給サイドから推計される7~9月期第1次速報値の実質設備投資は前期比増加になる可能性が大きいとみられます。

9月ESP フォーキャスト調査の予測平均値は7~9月期は実質GDP前期比年率+14.07%と4四半期ぶりのプラスです。現行統計(平成23年基準)で遡れる1980年4~6月期以降で実質GDPが前期比年率2ケタの増加になったのは、1987年10~12月期+11.2%、1989年10~12月期+12.0%、1990年4~6月期+11.0%、2011年7~9月期+10.3%だけで、ESP フォーキャスト調査の予測平均値が実現すれば、過去最高を更新することになります。

景気動向指数一致CIは「悪化」脱出が期待される局面

7月分景気動向指数・速報値では、一致CIは前月差+1.8と2カ月連続の上昇になりました。景気の動きを量的に示す一致CIは、新型コロナウイルスの影響がなかった1月分の94.5に比べるとまだかなり低い水準にあるものの、5月分の71.2を底に7月分では76.2まで戻しました。景気局面は方向性で決まるので、上昇傾向が継続するかが今後の景気をみる上でのポイントになります。

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一致CI・3カ月後方移動平均は前月差▲0.77ポイントと、10カ月連続の下降ですが、8月分では前月差は11カ月ぶりに上昇に転じることが確実視されています。一致CIを使った景気の機械的な基調判断をみると、2019年8月分~2020年7月分は12カ月連続「悪化」継続となり、リーマン・ショックを挟んだ2008年6月分~2009年4月分の11カ月のこれまでの最長記録を更新してしまいましたが、8月分の一致CIが前月差で0.1でも上昇になれば、「下げ止まり」に転じることになりました。

参考系列のDIも改善傾向にあります。7月分の一致DIは75.0%と14カ月ぶりに、景気判断の分岐点の50%を上回りました。9月のESP フォーキャスト調査では東京オリンピックが開催される予定の21年7~9月まで、総合景気判断DIは80台という高水準での推移となっています。回答したエコノミストのほとんどが景気の上昇を見込んでいます。

仮に現在が景気拡張局面だとして景気のリスク(複数回答、3つまで)を聞いた質問では、半年から1年後にかけて景気上昇を抑える(あるいは景気を反転させる)可能性がある要因は「新型コロナウイルスの感染状況」が最も多くほとんどの人が指摘しました。「米国景気の悪化」「中国景気の悪化」がそれに続き、各々概ね4割程度の人が回答しました。