はじめに

マクラーレン試乗最速、403km/hを誇る「スピードテール」の誇り

去る9月14日、東京の西麻布で日本初披露されたマクラーレン・スピードテール。そのうたい文句と言えば「マクラーレンの市販車史上最速403km/hを実現」です。正直、日本はもちろんですが、世界中のサーキットを探しても、この最高速度を体験することは相当に難しいかもしれません。以前、フランスのルマン24時間レースで、名物のユーノディエールと言われる6キロの直線コースで、実際に400km/h以上で疾走するマシンを目の当たりにしたのですが、目の前を通り過ぎるときにはクルマが一瞬消えるのです。これほどのパフォーマンスを実現するにはドライバーも超一流でなければ許されないでしょうし、おそらく生涯、経験できずに終わるオーナーさんがほとんどでしょう。

1_マクラーレン

見るからに空力が優れたデザインです。

ボディのサイズをチェックしてみると全長×全幅×全高=5137×1970×1182mm(全長×全幅×全高)で、その全長が5メートルを超えるという、かなりの大柄ですがカーボン製ということもあり、車重は乾燥重量で1430kgと軽い。ここに乗るのは最高出力757馬力、最大トルク800N・mの4リッター、V型8気筒ツインターボと最高出力313馬力、最大トルク350N・mのモーターが組み合わされたハイブリッド・システムです。このシステムの合計では1070馬力、最大トルク1150N・mを発生するのです。ここまで来ると笑ってしまうほどのパフォーマンスです。

これほどのパワーをコントロールは運転席を中央に配置したユニークな3座レイアウトの中高に座るドライバーです。当然のことながらプロ級のスキルが必要となるでしょう。ところが「ヴェロシティーモード」と呼ばれる走行モードを選ぶと、適正なコンピュータ制御により、エンジンのパフォーマンスやエアロダイナミクスが最適化されて、403km/hの最高速度と0-300km/hの加速が13秒というパフォーマンスを安心して引き出すことができるようになると言うのです。まぁそうはいわれても地球上の公道で、この超絶凄いパフォーマンスを存分に味わえる場所などは、ほぼないでしょうが……。この超現実的な世界を経験できまさにウルトラスーパーカーといえるクルマですが、その世界観を味わえるのは175万ポンド(約2億3800万円・.税別)が支払える106人(限定)のみです。もうここまで来ると、うらやましさなど、微塵もありません。

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