はじめに
当時は目新しかった「高層階、オーシャンビュー確約」
―これまでのパックツアーで、特にジャルパックとして顕著だった試みはありますか?
黒永:特にジャルパックがパイオニアとなった強みとしては、ハワイの有名ホテルの海側の部屋を買い取り、事前に階層やビューを確約できるプランがあります。当時は、パッケージツアーであっても、現地に行かないと部屋がどんなものかわからないことが多く、「海側か山側のお部屋か」くらいしか選べなかった。ジャルパックのこのサービスは大好評で、今でも続いています。
また、好評を得たものに、家族向けのツアーもあります。お子さま連れのお客さまにとっての海外旅行は、やはりハードルが上がるものです。それをフォローするために考えた企画が「ファミリージェット」という12歳未満のお子さま連れご家族を限定とした商品です。
家族専用機なので気兼ねなく旅行をお楽しみいただけます。出発前に現役のパイロットやCA(キャビンアテンダント)、整備士と撮影することもできるというものです。現在は発売していませんが、とても人気があった商品でした。
2009年、ジャルパックが企画した家族専用機・ファミリージェットによるツアー。子ども連れの家族向けに特化した商品だった
新型コロナの影響で大打撃を受けている旅行業界
―日本人にとって海外旅行自由化から56年、今年は新型コロナウイルスで大打撃を受けていると思いますが、感染拡大以降の状況を教えてください。
長尾:渡航先にもよるのですが、今年の2月頃までは、ツアーを催行していました。しかし、4月以降は緊急事態宣言が出され、世界中の行き来がほぼできない状況になりました。これを受け、4月から現在までの約半年間、すべての海外パッケージツアーが止まっています。
―例えば、催行したツアーで行った渡航先で、新型コロナウイルスの影響で足止めをくらうみたいなことはなかったのですか?
長尾:皆さまに無事にお帰りいただいています。ただ、これまでにそういった経験がないわけではなく、例えば台風の影響で、現地を出国できなくなることもありました。
こういった際でも、ツアーに入っていると、代替便の手配を現地のスタッフや添乗員のサポートを受けられるなど利点があります。個人での海外旅行も増えていますが、非常事態の際はすべて自身で手配しなければいけない。こういった点でも、パッケージツアーの「安全・安心」が活かされるのではないかと思っています。