はじめに

11月3日の米国大統領選まで、あと6週間を切りました。大統領選の結果は、米国株式市場を含む様々な金融市場の変動要因となるため動向が注目されます。

世論調査によると、民主党の大統領候補であるバイデン氏が共和党の大統領候補であるトランプ氏に対し支持率でリードしている状況です。しかし、7月後半以降、トランプ氏が追い上げたことで、その差は縮まりつつあります。

また、一般的に世論調査の回答率は高学歴層が高く、トランプ氏の支持が根強い低学歴層の意見は世論調査に反映されにくい事を考慮すると、現時点における両者の大統領選での勝率はほぼ拮抗しているとみられます。

かかる中、今後の大統領選の行方を占う上で、「テレビ討論会」と「オクトーバーサプライズ」が注目されます。

<写真:ロイター/アフロ>


大統領選を左右する「テレビ討論会」

米国では、政党から指名を受けた大統領候補が、9月下旬から10月下旬にかけて3回のテレビ討論会を実施することが通例となっており、今年は9月29日、10月15日、10月22日に行われる予定です。また、副大統領候補同士の討論会も10月7日に一度のみ開催されます。討論の様子は生中継で放送され、有権者はどちらの候補に投票すべきかの判断材料とします。

特定の政党を支持する有権者と異なり、無党派層の有権者の中には投票先をまだ決めていない人も多くいます。調査会社ユーガブなどが実施した世論調査(調査期間:9月13~15日)によれば、支持政党が無いと答えた人のうち、15%がどちらの候補に投票するかをまだ決めていないと回答しました。そのため、候補者にとって、こうした浮動票を取り込むことができるかが、大統領選で勝利するための鍵となります。

討論会では、政策に関する具体的な言及がなされるかが注目されます。バイデン氏は既に当選時の公約を広範にわたり公表している一方、トランプ氏の公約は、詳細が未だ明らかとなっていない部分が多くあり、討論会の中で政策のヒントが示されるか注視する必要があります。

また、討論会での候補者の立ち振る舞いにも注意が必要でしょう。2000年のテレビ討論会では、当時の民主党候補のゴア氏が、同じく当時の共和党候補であるブッシュ氏の発言中に何度もため息をついたことが、有権者の反感を買い、落選につながったとの見方があります。

討論会ではトランプ氏が、失言の多さが不安視されるバイデン氏から不適切な発言を引き出し、大統領として相応しくないことを印象付けようとする可能性があります。

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