はじめに

父親が亡くなり、母親が入院。母親が退院した後、どこで生活するか、その生活にはいくらかかるのかなど、子供として考えなければならないことは、まだたくさんあります。だからこそ、親がどの程度の財産を持っているのかを把握しつつ、親が望む生活をしてもらうのに必要なお金がいくらで、仮にその生活をした場合、何歳までお金が底を尽かずに済むのかを計算する必要があります。

前半:親の資産をどこまで把握?実際に親の死でわかった必要な「お金の手続き」


「2000万円問題」覚えていますか?

昨年6月に金融庁の「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書」に書かれている文面から、にわかに「2000万円問題」が浮上しました。実感としては,何だかもうずいぶん前の出来事のように思えるのですが、まだ1年前の話だったのですね。

で、その報告書に何が書かれていたのか。報告書の「基本的な視点及び考え方」から抜粋すると、

「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる」。

つまり、65歳以降に受け取れる公的年金である程度、生活費を賄うことはできますが、ライフスタイルによってはそれ以上のお金が必要になることもあるので、不足額の総額と考えられる1300万円~2000万円程度は、自助努力で貯めておきましょうね、という話です。

果たして資産はいくらあったのでしょうか

では自分の親はどうなのか。ふとそう思って母親に確認してみました。自宅は持家の一戸建て。保険は外資系保険会社のガン保険のみ。証券会社の口座は持っていないので、株式も投資信託もなし。父親名義の銀行預金と郵便貯金、母親の郵便貯金があるだけ。昭和ヒトケタ生まれの両親らしい、極めてシンプルなポートフォリオです。

さて、いくらあったでしょうか。

父親の銀行預金…400万円
父親の郵便貯金…400万円
母親の郵便貯金…300万円

以上。合計で1,100万円でした。持家だし、住宅ローンはとっくに完済しているし、日々の生活費は厚生年金で十分に賄えるということで、あまり真剣に資産形成はしてこなかったのだそうです。

それに80歳を超えてくると物欲が無くなり、足腰が弱って旅行に行かなくなり、父親は脳梗塞を患ってから断酒をしていたので、出ていくお金は日々の食費といくばくかの雑費のみでした。

確かに、これなら月20万円の厚生年金だけで生活できます。ただ、問題は父が亡くなってからの母親の生活費でした。1,100万円あった預貯金のうち、200万円は父の葬儀で使っていますから、残る預貯金残高は900万円です。

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