はじめに
Campusノートの部品は、たった3つだけで構成されている?
―初代から無線綴じだったわけですが、背クロスもこの時代からついていますね。
吉村:はい。後に何度かの改良を重ねることになるCampusノートですが、基本構造は初代から変わっていません。Campusノートの部品は実は3つしかなくて、本文用紙、表紙、背クロス……これだけです。もちろん、各部品とも後に改善していくのですが、基本はこれだけです。
―作家さんなどの昔のノートを目にする機会がありますが、Campusノート以前の大学ノートは、だいたいボロボロ。でも、何十年も前のCampusノートの場合は比較的保存状態が良いことが多い気がします。
吉村:そうですね。こういったお話もCampusノートの強度、劣化しにくいことを表していると思いますが、やはり当初からの無線綴じ、背クロスの効果だと思います。
現在までのCampusノートに使われている背クロス(写真提供:コクヨ)
45年の間、4度のマイナーチェンジを繰り返してきた
―Campusノートですが、現在までに5世代のモデルがあります。リニューアルはどんな周期で行われるのですか?
吉村:特に決まりがあるわけではないのですが、振り返ってみると、例えば「より良い技術が見つかった」「著しく流行の変化があった」といった際、リニューアルに至ることが多かったように思います。過去はだいたい10年に1度くらいのサイクルでリニューアルの時期が来ています。
例えば、1983年に登場した2代目は、中を見なくてもA罫・B罫の差をわかりやすくするため、英文字と罫線イメージを大胆に表紙にあしらいました。ここで新ロゴも作成し、よりブランドイメージを強調しています。
1983年(昭和58年)に登場した2代目CampusノートのA罫タイプ。初代のシンプルなデザインに対し、さらにポップな印象だ(写真提供:コクヨ)
吉村:そして、1991年に3代目が登場したのですが、市場の拡大に伴って使う方の選択肢が広がり、よりインパクトを出すデザインになっています。縦ロゴになったことが大きな特徴ですが、これは文具店などの什器などで縦に陳列されたときのことを意識してのことでした。
1991年(平成3年)に登場した3代目CampusノートのA罫タイプ。それまでのA罫タイプはオレンジ色を基調としていたが、このモデルからエンジに変わった(写真提供:コクヨ)
3代目CampusノートのB罫タイプ。表紙に入る情報は2代目と同様だが、見比べると、3代目にはデザイン的な遊び心が加わっている(写真提供:コクヨ)