はじめに
ノートに「黒」の配色はタブー。その理由とは?
―一連のリニューアルを見ていると、そろそろ6代目が登場してもおかしくない時期にも思います。リニューアルの計画はないのでしょうか?
吉村:次のリニューアル内容、時期などは決まっていませんが、先ほども申し上げた通り、弊社では常に改善と研究を重ねていますので、そういった蓄積を反映した第6世代のCampusノートが、将来的に出てくるのではないでしょうか。
―Campusノートのヒットによって、様々な派生商品も生まれました。特に顕著だったものは何ですか?
吉村:最近だと大人Campusですね。Campusノートは、この名の通り学生さんが使うイメージが強いですが、実際は学校を卒業した方でも使われることが多く、こういった社会人の方に向けたノートがあっても良いのではないか……と開発したものです。
それまでのノートは「表紙に教科名を書けない」という理由から「黒」を使うことはタブーでした。でも、大人が使うのであれば、そこも問題ないだろうということであえてモノトーンで構成した商品です。
大人Campusシリーズ。ノート、ルーズリーフ、ルーズリーフバインダー、書類収容カバーノートなど、様々な商品をラインナップしている(写真提供:コクヨ)
コクヨの「紙製品」の強みと、ペーパーレス化が進む未来のCampusノート
―例えば海外旅行に行った際、外国製のノートを使うと、紙が粗悪で書きにくかったり、妙にかさばったりして辟易とすることがあります。ただ、これは我々が日本製の優れたノートに慣れているからかもしれません。
吉村:確かにCampusノートだけでなく、日本製の文房具は優れたものが多いので、粗悪な文房具を使ってガッカリすることはあります。ただ、じゃあ日本製の文房具、特にノートがことさら高額な商品かといえばそうではなく、100~200円の商品です。これは私個人のイチ消費者の立場にたって考えても、本当に素晴らしいことだと思います。
―なぜ、これだけ「良い紙」を使った商品を、低価格で販売できるのですか?
吉村:もともとコクヨは、創業時「大福帳」「大黒帳」と呼ばれた和式帳簿の表紙を作る事業を行っていて、紙製品に関しては特に強い。さらに帳簿製作の経験があるので接着用品などの知見もあり、製本にも強い。今では家具など、幅広い商品展開をしていますが、特にこういった「ノート」の分野は他社さんよりも抜きん出ていると自負しています。
―一方、近年ではペーパーレス化が進んで、例えば学生さんがタブレットで勉強をするようにもなっています。こういった影響はありますか?
吉村:多少の影響はありますが、ペーパーレス化が叫ばれるようになっても、やはり「ノート」という商品が絶対になくならないことを実感しています。
例えば、「勉強をする」場合、「何かわからないことを調べる」点ではタブレットやパソコンは主流になっていくと思います。でも、自分の考えをまとめたり、覚えたりする場合は、やはりタブレットやパソコンよりも、「自分で書く」ノートのほうが効果的です。こういったニーズはずっと変わりませんし、これから先もそうだろうと思っています。
―45年を迎えた今年ですが、さらなる未来に向けての思いをお聞かせください。
吉村:これまでのCampusノートがそうだったように、現状の商品がヒットしているからと言っても、研究や改善を怠らないのが弊社です。もちろん、今も常に改良、品質の向上を考えています。ですので、これから先もまだまだ進化していくと思います。ぜひこれからのCampusノートにもご期待いただければと思います。