はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

3人目の子供をつくるかどうかを迷っています。


現在、私41歳、妻38歳、長女3歳、次女1歳の4人家族で、私の年収は額面で1,100万円、妻は専業主婦です。月の出費で一番大きいのは住居費で、住宅ローンの返済が月額15万円、管理費等2万円の合計17万円です。また、外食や旅行等の出費が多く、あまり貯金ができておらず、現在の貯金は160万円です。


私も妻も子供が好きなので、3人目の子供のためには外食や旅行の出費を抑えることも可能だと思います。しかし、ローン残債は4,800万円あり、「すでに手遅れなのでは?」とも思えます。3人目をつくった場合、多少は余裕のある生活ができるのでしょうか? 出費を切り詰めればなんとかなるのか、それとも家計自体が破綻してしまうのか、見通しについて、アドバイスをいただけますでしょうか。


【現在の状況】
(1)現在の収入金額と支出の傾向
年収1,100万円、外食や旅行の支出が多く、住居ローンなどを払った後はほとんど残りません。
(2)今後の収入金額と、今後予測される支出収入
通常のサラリーマンと同等のペースで上昇予定。大きな支出の予定はなし。
(3)金融資産
売却相場7,000万円程度の不動産(マンション)ただし、気に入っているので売却のつもりはありません。
(4)現在の負債
住宅ローン残債4,800万円
(5)保険契約
就業不能保険月額7,000円、そのほか加入中の保険は特にありません。
(40代前半 既婚・子供2人 男性)


深野: 3人目のお子さんに関するご質問ありがとうございます。

早速、回答に移らせていただきますが、家計の具体的な収支など、記載のない部分がたくさんあります。

あくまでも、記載のあるデータだけに基づいた回答であることをご承知おきください。

1人あたり1,500万円前後かかる教育費

3人目のお子さんを生んだと仮定した上で、まずは教育費を考えてみましょう。

もっとも金額が低いオール国公立としても、大学も視野に入れれば、1人あたり1,000万円前後の教育費が必要になると考えられます。

この費用は学費だけなので、部活や習い事、あるいは塾に通う費用、さらに大学で私立に進学した場合、1人あたり1,500万円前後の教育費を考えておく必要があるでしょう。

そうすると、3人のお子さんの教育費は、合計で4,500万円前後となります。

そして、現在の貯蓄額は160万円、学資保険などの子どもの教育費の準備の記載がないことから、4,340万円をこれから準備していかなければなりません。

仮に20年間で準備するとすれば、年間217万円、つまり毎月約18万円の積立が必要になります。

ご質問者の年齢を考慮して仮に15年とすれば、年間290万円、毎月約24万円前後の積立が必要になります。加えて、ご夫婦の老後資金の準備も考えなければなりません。

このままでは老後が厳しい状況に

ご質問者に、退職金がどれほど出るのか定かではありませんが、かなり多くの退職金が出なければ、老後の生活はおぼつかないかもしれません。

なぜなら、ご質問者の勤務先の退職年齢が60歳だとすれば、退職後も住宅ローン、2人目、3人目の教育費が残ってしまうからです。

ご質問者の年齢、収入、現在の貯蓄額、老後資金も考慮すれば、教育費のほかに月々10数万円の積立が必要と思われますが、現状のままで、その金額を積み立てていくのはかなり厳しいと言わざるを得ません。

酷な言い方をすれば、3人目を生んだ場合、かなり厳しい生活を強いられると思われます。

頼みの綱は奨学金か共働き

これらの試算は、ご質問者が3人のお子さんの教育費を全額負担することが前提です。

仮に3人のお子さんが、大学の進学を奨学金を使ってカバーしてくれるのであれば、3人目を授かっても、キャッシュフローはあまり厳しくはならない可能性があります。

ただし、奨学金は返済が必要なものではなく、返済の必要のない給付型、いわゆる特待生に限ります。それは、返済が必要なものだと、お子さんに借金を背負わせて社会へと出ることになり、結局はお子さんが、返済に苦労すると考えられるからです。

3人目のお子さんを授かっても、余裕ある生活という視点で考えるならば、奥さんがフルタイムで働き、年間で手取り最低300万円以上稼ぎ、その収入は全額貯蓄に回す。もちろん、ご質問者の収入からもできるだけ貯蓄。

そして、なるべくお2人とも65歳まで働けば、無理ではないように思われます。

結論を申し上げると、3人目のお子さんを授かって欲しいのはやまやまですが、現状は厳しいと言わざるを得ません。

3人目のお子さんもさることながら、現在の家族構成、家計の状況、住宅ローンの残高、ご年齢などに鑑みれば、1日でも早く貯蓄体質の家計へ改善すべきです。

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