はじめに
習慣4:積み立ては継続する
――その説明だけなら簡単そうなのですが、どうして多くの人が資産形成に苦労しているのでしょう。
積み立ては誰でも簡単に始めることができますが、落とし穴もあります。続けることが難しいのです。
当社のメイン商品であるひふみ投信は、2008年の設定以来、投資信託の時価にあたる基準価額が約5倍になっています。10年ぐらい保有していれば資産を3倍程度にできているはずなのですが、先日、大変残念なデータが出てきてしまいました。当社の投信を保有した投資家のうち、「5~7%程度の利益が出た時点で売ってしまう」という人がかなりの割合に達していたのです。
積み立て投資は、長く続けるほど複利効果が大きくなりますし、相場の変動を多く経験しながらも、長く積み立てを続けていくことで資産が形成されていくのです。どんなに良い金融商品でも一本調子で値上がりすることはないので、途中経過ではマイナスになってしまう局面は当然あります。そんな時こそ安く仕込んで将来の利益を大きくするチャンスなのでそのまま続けるべきなのですが、人の心理は将来大きな利益に育つ可能性を棒に振ってでも、目の前の小さな利益を確実に手にしておきたいと考える性質があります。そのため、感情のままに投資行動すると、資産形成には不利に働いてしまうのです。
お金が必要な時に換金するのはいいのですが、相場の変動に影響されて余計な売買をしてもプラスに働くことはあまりありません。大切に積み立ててきた資産を持ち続ける勇気こそが、成功の秘訣になります。