はじめに

主役の「交通」・「宿泊」の回復は道半ば?

このような「旅行」・「自動車小売業」の動きとは対照的に、本来の主役であるはずの「交通」・「宿泊」の需要回復はいまだ道半ばのようです。
交通データ

交通も東京が対象となった10月からは大きく上昇しているものの、「自動車小売業」ほどの需要回復には至っていません。

交通需要には、航空旅客や鉄道旅客といったものがありますが、これらはビジネス面のシェアも高いことから、GoToの効果はある程度減殺されていると考えられます。
宿泊データ

また、「宿泊」のデータをみると、「旅行」でみられたような大幅な回復は確認できず、いまだコロナ禍の水準以下で推移している様子が伺えます。これには、GoToトラベルキャンペーンが「日帰り旅行」も対象となっているということも要因として考えられるのではないでしょうか。

ただし、「交通」・「宿泊」のデータは利用者のクレジットカードデータからみると、これらはある程度割引された数値となっている可能性もあります。なぜなら、顧客は補助金で割引かれた後の金額のみカードで引き落とされているからです。

また、GoTo対象の旅行ツアーのパック代金に「宿泊費」や「交通費」が含まれており、これを旅行会社が肩代わりしていることも要因として考えられます。

「旅行」区分の回復幅のうち、一定割合は「交通」・「宿泊」に還元されており、数値の見た目以上に回復している可能性もあることに注目しておくべきでしょう。

11月以降は「燃料」にも注目?

GoToトラベルキャンペーンによりマイカー需要が増加したとすれば、今後は「燃料」セクターにも波及効果が及び可能性があるのではないでしょうか。
燃料データ

燃料小売業のセクターは、小幅な回復となっていますが、これは指数の基準となっている1月が、もともと暖房のような防寒需要が高い季節であることも考慮しなければなりません。

今後冬の寒さが深まるにつれて、自動車用だけでなく屋内暖房の需要もあって燃料小売業に効果が波及する可能性があります。現に、コロナ禍中では在宅勤務の流れも起こったこともあり、光熱費のカード決済金額が大幅に上昇しています。
光熱費データ

このように考えると、今後は「燃料小売」がマイカー旅行による需要増と、在宅時間の長時間化に伴う暖房のための需要増によって、回復調子が加速する可能性があると考えられます。

<Finatext グループ 1級FP技能士 古田拓也>

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