はじめに

日本企業の7~9月期の決算発表が佳境を迎えています。3月決算を採用する約2,400社のうち10日時点で約1,600社が決算を発表しました。

しかし今、株式市場では発表された決算内容とは真逆の動きが見られています。どういうことなのでしょうか?


国内決算は「二極化」進む

筆者が集計したところでは、7~9月期の売上高・経常利益とも前年同期比11%減と、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で完全に経済が止まっていた4~6月に比べると持ち直しているものの、まだまだ厳しく減収減益となっています。

決算の傾向ははっきりしています。外食やホテル、鉄道、航空関連といったダイレクトに人の移動に紐づくサービスを展開する企業は業績が厳しい一方で、eコマースやゲーム関連、企業のIT投資関連は非常に業績が好調です。

新型コロナウイルスの感染拡大以降、上記のように業績が厳しい企業は株価が全く冴えず、業績好調な企業の株価は非常に割高なレベルまで買い進まれるという「二極化」が進んでいました。

例えばすかいらーく(3197)やANA(9202)、JR東日本(9020)などの株価はコロナ前に比べて大きく下落している一方で、メルカリ(4385)や任天堂(7974)、オービック(4684)などは大きく上昇していました。

これは日本だけで起きた事象ではなく、例えば米国でもつい最近まで、景気敏感株の影響が大きいニューヨークダウ平均よりも、IT関連株の影響が大きいナスダック総合指数のパフォーマンスが大きく上回っていました。

世界を駆け巡ったワクチン報道

しかし11月9日、事態を一変させる報道が世界を駆け巡りました。
それは米国ファイザー社がドイツのビオンテック社と共同開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で90%以上の予防効果があったと発表したのです。

この報道を受け9日のダウ平均はその日の取引で一時1,600ドル以上(5%以上)上昇し、終値でも834ドル高となりました。そして、これほどまでにダウ平均が上昇したにもかかわらず、ナスダック総合指数は181ポイント安と2%近くも下落しました。

10日の日本市場でもコロナ後の安値から2倍以上上昇していたマザーズ指数が6%の大幅下落となった一方でTOPIXは1.1%高と「二極化」銘柄の逆転現象が起きました。

個別銘柄を見ても10日の取引で前述のすかいらーくは9.2%高、ANAは18.1%高、JR東日本は15.5%高とそれぞれ大きく上昇しました。一方でメルカリは11.8%安、任天堂は4.5%安、オービックは3.9%安と真逆の結果となりました。

任天堂とANAの株価

コロナの影響で業績が悪い会社の業績が急に良くなったわけでもないのになぜこんなことが起きたのでしょうか?それは「株式投資は未来の予想を織り込む」からです。