はじめに

回復のカギは、「人件費」の削減

同社が約80店もの新規出店を進めるなど攻めの姿勢を崩さないのは、コロナ禍の今こそが経営体質を改善するチャンスと捉えているから、と推測できます。

さらに11月には通販事業にも乗り出しており、大手通販サイト(アマゾン・楽天)に出店し、餃子やハンバーグを販売しています。2021年には自社ECサイトも立ち上げることから、これが当座しのぎのコロナ対策ではなく、中長期的な需要を見据えた計画の一環であることは言うまでもありません。

ここまで来ると、コロナショックに怯むどころか、むしろそれに力を得て、確信的に経営改革を推し進めている印象すら受けます。

もちろん、「すかいらーく」の経営回復までの道のりは容易ではありません。

同社は「Withコロナの経営戦略」の中で、既存店売上を2021年末には2019年対比で85%にまで回復させ、IT投資や営業時間短縮などによる生産性向上で2021年の営業利益は100億円前後にするとしています。そしてそのカギは、やはり「人件費をいかに抑えるか」にかかっています。

2020年第3四半期(1月~9月)における人件費は860億4,900万円、比率にして40.3%。売上収益が2割以上減少したこともあって、ついに40%の大台に乗り上げてしまいました。

また、同社の強みである原価率も、大幅な売上減少に対して固定費率を下げきれず、当期は31.8%、前年同期に比べて1.7ポイント悪化しています。

これらの比率をこれからどこまで改善することができるのか。

Afterコロナにおける日本のファミレスの未来を占う意味でも、「すかいらーく」の新型コロナ対策を兼ねた経営改革の真価が問われようとしています。

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