はじめに

「ディスクロージャー優良企業」の株価が上がる理由

ではなぜ、「ディスクロージャー優良企業」の株価は上がるのでしょうか。

情報開示することは企業にとってデメリットもあります。例えば業績が悪くなりそうだということをいち早く開示することも良い情報開示とされる条件ですが、開示すれば株価にはネガティブに働きます。

また環境対策などが他社よりも遅れていてもその開示を行う必要がありますし、万が一、不祥事が発生しても隠さず世の中に伝えなければなりません。こうなると、情報開示姿勢が優れていることが株価にプラスに働くということに疑問も出てきます。

しかし、こう考えてみると納得できるのではないでしょうか。「情報開示はマイナス面も開示しなければいけないため、プラス面に自信がある企業ほど優良企業になりやすい」ということです。

会社に限らず、私たち個人について考えてみても似たようなことが言えそうです。自信があることほど皆に知ってもらいたいと思う人も少なくないでしょう。こうした理由が「ディスクロージャー優良企業」が株高となる背景と考えています。

“初選出”と“2年連続選出”を比べると…?

さらに、分析を深堀りしてみました。
優良企業を“前の年に続いて優良企業に選ばれた企業”と“前の年は選ばれなかったが、今年になって選ばれた企業”の2つに分けて、その後の株式パフォーマンスを見てみました。

2_前年に続いて選出された企業・前年は選ばれていなかった企業

ちょっと面白い結果です。
翌1年間(1年後まで)は“前年は選ばれていなかった企業”が4.1%と“連続して選ばれた”企業より株価が上昇しました。これは前年から改善して今年、優良企業となったという変化が株高に表れたと見ています。

しかし、2年後以降を比較すると逆転します。“連続して選ばれた”企業は2年間(2年後まで)では13.6%と高いパフォーマンスです。長期的に見ると、連続して優良企業に選ばれる“安定感”が株高として評価されています。

ですから、1年程度の投資なら“前年は選ばれていなかった企業”、それより長ければ“連続して選ばれていた企業”の観点での銘柄選択が効果的となるでしょう。

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