はじめに

温水洗浄便座の寿命と使用上の注意点

温水洗浄便座の「寿命の目安」は他の家電と少し異なります。重大事故防止のために「一般社団法人 日本レストルーム工業会」から定期的な点検が推奨されている電化製品です。

おおよそ一回における温水洗浄便座機能の使用時間は10秒から15秒と言われており、男性2人、女性2人の4人家族を想定した場合の想定安全使用期間は10年です。したがって、10年以上使っている場合は、買い替え時を迎えていると判断しても間違いではないと思います。便座蓋を開けると注意喚起や製造年などが記載された表示ラベルが貼り付けられているので、そちらを確認してみましょう。また、消費者によるセルフチェックのポイントもあります。

(1) 便座にガタツキが確認できる(便座の裏側に据えられているゴム足が欠損している)
(2) 便座が異常に熱くなる、異常に冷たい(季節で感じ方も異なるが「異常」と感じる)
(3) 便座にひび割れが確認できる(便座の表裏など目視できる箇所はすべて確認する)
(4) 配線がねじれている、被覆に亀裂などが確認できる(被覆内部の銅線が目視できる)
(5) 配線が熱くなっている、電源プラグの差込部が発熱・変色している(大量の埃にも注意)
(6) アース線が取れかかっている(取れかかっていると故障や漏電の際に感電する)
(7) 操作部のパネルなどがめくれたり、ひび割れている(被水に注意)
(8) 製品本体から水漏れしている(滴下していなくても、漏れた形跡に注意)

これらの項目をチェックすることを習慣化することが大切です。そして、何かあっても消費者判断で応急処置することは危険です。ガタツキがある部分に段ボールの切れ端を差し込む、ひび割れしている箇所をボンドで固定する、被覆の亀裂箇所にビニールテープを巻いておく、水漏れしている箇所を硬化パテで覆う…など、もしそのような行為を行なっていたり、発見した場合は、放置せずにメーカーサービスへ点検依頼をしてください。

セルフチェックとともに安全上の注意点にも触れておきましょう。

■洗浄タンク(便器洗浄機能がある場合)の洗剤管理と水抜き(温水洗浄便座 全般)の必要性
1)石鹸や天然由来など界面活性剤成分の少ないものは洗浄効果を得ることが難しいので使用は控える

2)台所用中性洗剤以外(ハンドソープ、ボディソープ、トイレ洗剤、浴槽洗剤、食洗機洗剤、酸性やアルカリ性、塩素系の洗剤)は使用しない

3)異なる洗剤に入れ替える場合は取扱説明書のとおり正しい手順で洗浄を行なう (種類の異なる洗剤が混ざると化学反応を起こし、動作不良の原因となる)

4)長期間使用しない場合は取扱説明書のとおり正しい手順で水抜きを行なう (水道局により塩素処理された水道水であっても腐敗して皮膚炎の原因となる)

■本体表面や便蓋、便座などのお手入れ
1)完全に乾いた布やトイレットペーパーを用いて拭き取らない(ヤスリ掛けの行為と変わらず、傷の原因となる)

2)酸・アルカリ性洗剤や研磨剤入り洗剤、ベンジンやシンナーを用いて拭き取らない (樹脂部分だけに留まらず、金属部分を腐食させる原因となる)

3)基本的に電源プラグをコンセントから抜いて作業する (各部誤作動による思わぬ事故や故障の原因となる)

■便座の隙間にも注意
現在、便座の成型方法には大きく分けて二種類です。便座上側と下側の部分を結合するものはかならず隙間が存在します。隙間に汚れが入ってしまうと変色の原因となったり、小水が跳ねて隙間に浸透すると変色だけでなく、塗装はがれの原因にもなります。また、酸性のケミカル剤を使用すると内部に侵入して破損や故障の原因となります。トイレ掃除の度に、もっと言えば用を済ませる度に確認して直ぐに拭き取ることをお勧めします。一体成型の便座であれば隙間は存在しませんが、隙間が存在するタイプのものと同様の注意は必要です。

意外と知らない「家電の寿命」。年始の忙しい時期に、急に壊れた……などという事のないよう、年内に一度、自宅の家電の購入時期をチェックし、それぞれの寿命を確認しておくのが良いでしょう。

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