はじめに

日常で使えるスポーツカーの魅力

目の前に現れた3ドアハッチバックのGRヤリスは、オーラが半端ありません。前後のフェンダーは大きく張り出し、マットブラック塗装を施した大きなラジエーターグリルと、その両側にフロントサイドディフューザーと呼ばれる空力パーツまで付いていて迫力満点です。そして2本出しのエギゾーストパイプと黒いディフューザーを装備したリアバンパーの眺めもなかなかの迫力です。

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さらに3ドアハッチバックのサイドからの眺めもなかなか魅力的です。実はノーマルのヤリスには5ドアハッチバックのモデルしかありません。つまり、このボディはGRヤリス専用に開発されたものであり、スポーティな雰囲気を存分に演出しているのです。ルーフラインは後ろに行くほどなだらかに下がり、後端には真っ黒なリアスポイラーが待ち受けるというフォルムはクーペっぽい表情を見せます。これがなんとも可愛らしくもあり、迫力もあり、という演出でかなりの存在感を発散します。

一方で実用性という点から考えれば、パッケージングの優れたヤリスがベースであるという利点が光ります。リアシートを前方に倒せばゴルフバッグを2セットとか、サーキット走行用のタイヤが4本とか、楽々と積み込めます。こうした使い勝手を犠牲にしていないところも、このクルマの魅力でもあります。

このように細部をチェックしていて、最初に感じたのはボンネットもドアも、そしてリアハッチもアルミ製と言うこともあって、何とも軽いということです。ちょっぴり頼りなさげに感じる重量感ですが、もちろんこれは走りのための軽量化です。おまけに真っ黒なルーフは軽量でありながら高い強度を持っているカーボン製です。徹底した軽さの追求は優れたスポーツカーにとって必須の手法です。当然のことですが、こうした走りのためのこだわりは細部に渡っていて、ありとあらゆる部分に“本物ならではの仕掛け”がふんだんに散りばめられているのです。GRヤリスがスポーツカーとして人気を得ているのは、こうした本物を、日常的に使えるというところにあるのだと思います。