はじめに
コロナで2020年は旅行業界が大打撃を受けましたが、サラリーマンの投資の一つの形態である「民泊」も当然打撃を受けました。12月初旬、福岡県糸島市の民泊「LANA-SEA-ITOSHIMA」
に泊まり、「コロナと民泊」そして「コロナでも存続できる民泊」について聞いてきました。
予約ゼロが2ヶ月続いた
運営するのは(株)トキメクデザインの井上知子さん。Airbnbで高い評価を得た人がもらえる「スーパーホスト」の称号を持ち、自身で民泊を運営するほか、民泊を始めたい人の設立から開業までをサポートしています。糸島といえば、英誌『MONOCLE』が選ぶ「輝く小さな街」ランキングで世界3位になりました。同ランキングは人口25万人以下の都市を対象にしています。
さて、民泊です。井上さんは2018年7月から民泊を2軒運営してきました。以後、ずっと調子が良かったそうで、夏は95%ほどの日は埋まり、秋~冬は落ち着き、春休みになるとたいてい埋まる状況にあったそうです。最大20人収容可能で、宿泊では10人までが泊まれるため、大学生の合宿や企業の研修などで使われることもあったそうです。利用者の6割が日本人で外国人が4割だったそうですが、コロナで外国人の利用はなくなりました。
今年4月はキャンセルが続出し、5月、6月も予約はゼロ。2軒あった民泊のうち1軒は賃貸に出したそうです。7月22日からGoToトラベルが開始したため予約の受け付けを開始。海の季節ということで、7、8月は例年と同じぐらいの予約が入り、9~10月は半分ぐらい。11、12月は半分以下といった状況にあるそうです。果たして民泊は投資としてアリなのか? 井上さんはこう語ります。
「稼働率がコロナ前の状況だったら『アリ』だったと思います。本当にコロナの前は連日予約が入っていたため『いけるわ、これ!』と思っていました。大幅に売り上げが減ったため、持続化給付金をもらったり、2年間無利子の銀行ローンや、福岡県による宿泊業への10万円の支援金ももらい、今に至っています」
兎にも角にもコロナ禍が終わることを願っている井上さんですが、海沿いに立つ大きな民泊の強さを感じる出来事があったとのこと。LANA-SEA-ITOSHIMAは「貸し切り」で運営しているため、他のグループとの接触がないため「安心できる」と予約が入ることも多いそうです。
「Airbnbのサイトの日本人ホスト1,000人のオンラインミーティングにこの前参加したのですが、貸し切りのところはそこまで影響を受けていない、という意見が出てきました。その後、分科会的に8人で会議しましたが、やはりここでも『貸し切りはコロナの影響が少ない』という声を聞きました。一方、東京のワンルームとかはいまだに予約がゼロという声もありました。私のところも、貸し切りだから来ているのかな、ともいえるのではないでしょうか」