はじめに
テレワーク需要で成長が見込めるサービスとは
このテレワーク需要に対して、どういった産業が恩恵を受けるのでしょうか。
PC及び周辺機器は、国内だけなく海外でも拡大しているようです。日本ではGIGAスクール構想もあることから、より高い需要が見込まれます。そのため、PC及び周辺機器市場の潜在成長力が高まったと考えられるでしょう。
さらに、現時点で最も恩恵を受けているのは、クラウドなどを利用してオンライン上で様々なサービスを提供する企業でしょう。
例えば、テレワークやオンライン会議に用いられるクラウド型Web会議サービスを提供するブイキューブ(3681.東1)では、採用が広がり増収・増益と好業績となりました。セキュアなテレワークを提供しているソリトンシステムズ(3107.東1)では、テレワーク製品が主力のクラウドサービスとなり、大幅な営業増益を達成しています。
テレワークにより問題が浮き彫りとなったのが、ハンコ文化や紙資料です。そのため、脱ハンコを可能とする「クラウドサイン」が2021年3月期の上期時点で前年同期比2.5倍の売上となりました。
紙資料の問題に対しては、手書きの文字や紙の書類などをAIによってデジタルデータ化をしてくれるサービスDX Suiteを提供するAIinside(4488.東マ)が業績を大幅に伸ばし、今期に2回の業績上方修正を発表しています。
また、紙での領収書や請求書が多いことでテレワークが難しいとされる経理や財務でもテレワークが実施できるサービス「楽楽精算」などを提供しているラクス(3923.東マ)も面白いでしょう。
テレワークを発端とした各種サービスの利用・活用の流れは不可逆なものとなるでしょう。また、クラウドでのサービス提供は業績を拡大させやすく、利益も出やすいことから今後も注目していきたいビジネスモデルとなっています。
伸びが弱かったところはセキュリティ関連企業です。しかし、昨今様々な個人情報や電子決済情報の流出が問題となっています。企業側も今後対策を強化していくことも想定され、遅れて業績が拡大する可能性もあると見ています。