はじめに
心配点はお金の情報を共有していないこと
気になったのが、夫の貯蓄額や、住宅ローンの残債が不明なことです。相談者さんは体調不良で仕事を辞め、現在は夫の収入で生活しています。夫は年齢の割に年収が高めですし、相談者さんも将来はパートで働く予定です。2020年の新型コロナウイルス感染症のような予想外の出来事で社会が激変するとか、失業でもしない限り収入面では問題ないと思います。20代のうちに結婚し、すでに住宅も購入、順調なスタートといえます。しっかりやりくりすれば、教育費も住宅費もちゃんと払っていけるでしょう。
NISAに35万円を積み立てて運用にも取り組んでいます。老後資金についても、30年以上先のことですから、準備する時間は充分にあります。このまま順調に進んでいくには、夫婦でお金に関する情報を共有して、相談者さんも家計の全体像を把握した上で、これからのお金の使い方、貯め方について話し合い、方向性を一致させておくことが大事です。
教育費の計画に住宅ローン残債の確認は必須
ただし、夫婦とはいえ、お金の話はしづらいという方もいます。もしそうなら、まずは生まれてくる子どもをどう育てたいかから会話を始めてみましょう。おのずと、教育費の話になるはずです。進路によってどれくらいの教育費がかかるかを調べて、どう準備するかを2人で考えましょう。ご夫婦の年齢から考えて2人目のお子様が誕生する可能性もあります。
これから、子どもを育てながら、住宅ローンを返済していくのですから、次に確認したいのは、住宅ローンの残債、金利、および返済がいつ終わるかです。住宅購入は2019年ですから、仮に最長の35年ローンだとすると60代前半に返済が終了します。購入時期から考えて変動金利の可能性が高いと推察します。その場合は、今後、金利が上がると、いずれ毎月の返済額も上がり、総返済額も増えるので、繰り上げ返済を検討した方がいいかもしれません。そのためには一定額の貯蓄が必要です。
子どもが成長すると現状の生活費では貯蓄は厳しい
いただいたデータでは、夫の毎月の手取り35万円に対して支出が20万円、貯蓄が8万円となっています。単純に引き算すると、差額の7万円が夫の小遣いということになります。夫はこれを全部使っているのか、それとも、夫は夫でここから貯蓄をしているのでしょうか。
夫から生活費としてもらっている16万円からもっと貯蓄するように言われ、相談者さんもそうしたいと考えています。ただ、今後、子どもの成長にともない、生活費は少しずつ増えていきます。今はかかっていない教育費もいずれかかるようになりますから、生活費からの貯蓄は難しそうです。毎月8万円の貯蓄は、手取り35万円の23%にあたりますから月収からの貯蓄としては充分と言えるでしょう。今後も毎月8万円の貯蓄を維持できるなら、やりくり上手です。一方で、年間60万円あるボーナスからの貯蓄額はゼロ。ボーナスの使い道が気になります。見直すことで年間の貯蓄額を増やせるかもしれません。また、毎月2万円払っている保険料で、どんなリスクがカバーされているのか、保障内容や保障額が適正かも、子どもが生まれるこのタイミングで確認しておきたいところです。